設定や構成「は」面白い

少し捻った現代ファンタジーで、設定はしっかりしていると思います。文章も砕け過ぎず読みやすい一人称で好感が持て、最初の数話は期待して読み進められました。
…ヒロインに魅力が無さ過ぎる。部下にブラック労働を強いるだけならまだしも、趣味に時間が割けないという理由で職場で主人公や周りの部下に当たり散らして公私混同の憂さ晴らし。さぞ有能な完璧主義者なのかと思えば、ダンジョンに関しては全くの下手の横好き。下調べも講習も受けずに熟練者である主人公に付き添い、その恩恵を受けて置きながら彼の忠告を無視して無鉄砲な行動を繰り返し、自分と主人公を危険に晒し続けます。しかも反省や成長が見られない。
転生ものに良くある「駄女神」キャラなら、無知ゆえに事件を巻き起こし、しかし恩恵故に手放せない…という事はあるでしょう。しかしここでは違います。リハビリにしたって一人で行く方がマシな足手まといっぷりに、「自分は美人だからそのうち相手からアプローチをかけてくるはず」と言わんばかりの態度。ファンタジーとしては必然性が足りず、ラブコメにしては魅力が足りない。文章が面白いだけに、キャラ一人にスポイルされている様は残念です。次回作に期待しております。