狂気の奥に理性を感じるホラー短編集。

映画でもゲームでも、ホラーというものが苦手な私。
そんな私がこの作品を読んで面白いと感じたのは、ホラーでしか描けないものがあるということを実感したからだと思います。

特にそれを顕著に感じたのは『猫ト、長寿大国日本二オケル、考察』。
これはホラー的な要素を除外しても描くことができるとは思いますが、ホラーであることでより深く心に突き刺さる、感情に訴えてくるものがあったように思いました。

ホラー……恐怖の形も様々だと思いますが、単に怖がらせる、快感的な怖さではない、その先に何かがあるような、その狭間でなければ見ることができない世界を感じることができました。

きっとそんな風に楽しむことができたのは、狂気すら感じる世界の中に、確かな理性があるからではないか……そんなことを思います。

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