ともだちが死んじゃった。

2004年1月

その日は、雪が降っていて、朝起きるのが億劫だった。

それはいまに始まったことではないので、私は暖かい世界にくるまれたまま、夢うつつにゴロゴロしていた。

夢の中では、私はバナナ王国の騎士で、理由は不明だが王女を助けるため、身を粉にして働く必要があった。どうも私は偉い役職らしい。

「ご決断を！」

「殿、ご決断を！」

騎士で偉い役職な訳がないし、そもそも殿って、なんだよ殿って。

「首を！！！とるなっしーーー！」

いや、なっしーってお前なに。タイトルは２００４年だからお前居ないんですけど。

てかバナナっつてんじゃん、トロピカル部門にも属さないし、梨。でも好きです鳥取。

てゆーか首って。そんな首って物騒な。せせりはうまいよね、うん、とりの首。

そこで、肩を叩かれた。

「いつ死ぬ？」

いつ死ぬかなんて、だれにもわからない。

とりあえず、わたしは死にたくなかった。

辛いことはたくさんあったけど、それはたぶん大したことじゃなかった。

国語とか数学とか理科だとか、そんなことが関係ない世界はいつか訪れるのだけど、そのときはそれが全てだった、

それが必要だとわかるのも、ずっとあとのことだった。

そしてその日に、私は全てを忘れて眠りから覚めた。

パチン！

たまごの殻が割れたような朝だった。

いつもよりも重たい夢を見た気がして、ちょっと萎えた。

夢というのは、しばらくは後をひくものだ。だがすぐに消えて無くなってしまう。

子どものころは夢だけで一喜一憂したけれど、私はもう１８歳ですから。やることたくさんありますから。まずメールとか確認しなきゃですから。

from:ゆうた

おはよう！

今から仕事行ってくるね！！

彼氏からのメールさえあれば、寝起きはそこそこ。

眠たい目をこすりながら…という表現はとても素敵だが、実際は鼻くそでもほじりながら階段を降りて、会いたくない母親に出会う。

「おはよう」

「おはよう」

おはようってなんだ？

食パンは５枚切りがいい。

目玉焼きよりオムレツがいい。

洗顔フォームは、スクラブ入りがいい。

化粧水はニキビ予防のやつがいい。

髪型がうまく決まらない、めっちゃやばいんですけど。

スカートの丈は短い方がいい。

好きなことはたくさん。

嫌いなことはしたくない。

朝は、晴れてる方がいい。