持ってるスキルは最強。貰ったスキルは鉄壁。

@titimasa

第1話

 俺の名前は御剣徹28歳、御剣財閥の後継者だ。幼少の頃から帝王学を習い10歳に全てを収め15歳の時には実践し会社を設立そして大成功している。当然のようにスポーツそしてあらゆる武術も既に習得済みだ。


 女も飽きるほど抱いた、出来ることはすべてやった。


……だが、何か足りない、いつもこの心の奥底に何かが眠っている。それだけは、わかる何をしても起きないもう一人の俺。


 ”君の願望を叶えてあげようか?”


「何?誰だ?何所から聞こえてきた?」

 ”フフフ、探しても無駄だよだって君の頭に直接話してるんだもん”

「どういう事だ?いつのまにか何か埋め込まれたのか?」

 ”ハハハ、違うよ、まあまあ、いいから聞けよ悪い話じゃないぜ”


「いいだろ、どうせ嫌だと言ったって話すのだろ?」

 ”わかってるね~”


奴の話しをまとめるとこうだ。

・もう一人の俺を起こす替わりに異世界に行き魔王とやらを倒して欲しい。

・異世界のサポートはしてくれるそうだ。まあ、異世界語くらい俺ならすぐ覚えるだろうがな。

・特典として何か強力なスキルをくれるらしい。


俺としては、もう一人の俺が起きるならなんでもいい。即断即決だ。 


”じゃあ、行くよ、一度僕の所に来てもらうよ”

「うむ、やってくれ」


一瞬で別の場所にいた。


「ようこそ、御剣君」

「挨拶はいい、さっさとやってくれ」

「まあまあ、聞けよ君が言っているもう一人の自分なそれは、この世界では使えないスキルってやつなんだよ。 

 まあ、普通持ってても気付きもしない、もんなんだけど君は変わり種だからね」

「変わり種などの言葉は聞き飽きたよ」

「まいいや、どれどれ、もう一人の君を見てみるか………」


「ん?なんだ?早くしてくれ」

「ああ、う~んと起こすのこれ?」

「何なんだその為にここまで来たんだぞ?」


「わかったよ、約束だからね、でもどんなのでも僕は責任持たないよ」

「あたりまえだ、誰のせいにもしない自己責任は当然だ」

「言質とったからねいいね?」

「さっさとしてくれ」


「うん、じゃあ少し目を瞑って、その、目の前に居るのがもう一人の君、スキルだよ」


 こいつがもう一人の俺?まるで鏡を見ているような感じ……いや、ちがう、全てを成功させてきた漢、自信に溢れる顔をしている漢、そう全てだ絶対起きない、こいつを抱えてる俺ではなく完全制覇を成し遂げた漢の顔をしている。

 

 そうかこれが敗北感この感覚が敗北感という奴か、初の敗北感をまさか自分自身に浴びせ掛けられるとはなハーーハハハハハハ。いい、いいぞさすが俺だ。



 目を開けそいつに声をかける。

「いいぞ、俺の全てをそいつに明け渡す。ありがとうこいつを起こしてくれて」

「え~~~~~、いいの?それで本当にいいの?このままそいつ眠らせたまま異世界いてもいいよ?ねっねっ!そうしようよ」


「フッ、こんな負け犬が行っても異世界とやらに迷惑をかけるの関の山だ。大丈夫だ奴なら全て上手くやってくれる」


「約束しちゃったし強制力あるから変えられないし……もういいや面倒くさいや、じゃあ、もう1つのスキルはこっちで選ぶからね」


「まあ、あの漢なら他のスキルなんぞいらんと思うがな」

「いいから、自動で働くやつだから取ろうとしても取れないからな」

「わかったわかった、早く向こうに飛ばしてくれ」


「こうなったら、さっさと魔王を倒して戻ってきてね最速で」

「わかった、約束しよう」


「はあ、僕の人気落ちゃいそうだよ」

「うん、そんな心配か?なら俺が宣伝してきてやるぞ」

「止めて、なるべく君の口から僕の事は言わないでね」

「ん?そうなのか?わかったぞ」


「うん、頼んだよ、じゃあ、いってらっしゃい勇者よ」

「ハハハ大船に乗った気でゆったり待っているがいい」


 眩い光りに包まれた次の瞬間別の場所にいた。





「おお、勇者様、勇者様が顕現なされた。予言は本当であったぞ」

白い髭を蓄えた小太りの神官服を着たおじいさんが高らかに告げた。


周りにいた槍を持った兵士たちが喜びの雄たけびを上げようとした時、その異変に気付いた。

神官の隣にいる2人のお姫様その隣の王女、その王族を守るための親衛隊、そして杖を持ちこちらを見ている王、皆が歓喜の声を上げようとした瞬間に固まった。


 そして皆、1つの疑問が頭によぎった。

「何で、全裸なの?」


 いち早く正気に戻った神官が声を荒立てて叫ぶ。

「だ、誰か勇者殿に何か着るものを持ってまいれ」


 隣にいた若い神官が急いで部屋から出ていく。

「ああ、待ってください。洋服は必要ありません」

「はぁ?いえいえ、あの、若い女性もいますし、あの勇者様」


「ハハハ、よく見て下さい」

「はあ?何言ってるんですかな勇者殿」


「うむ、では、わかるように最初から話そうか、まず、この全裸なのは私の固有キル全裸最強です。そして私をここに送ってくれた者から貰ったスキルは自主規制です」


 神官服の男が訊いてくる。

「ここに送った者?とは神の事ですかな?」


「わからんが、そうなのかもしれんな、なるほどあれが神か」


「しかし、全裸最強はなんとなくわかるが、神が勇者殿に渡したスキル自主規制とは何なのだろうか?」


「だから、言ってるではないか、私をよく見ろと」


「ちょっと、勇者殿あんまり近づかないでください」

 あからさまに離れる神官様。


 その時、少し離れた所の幼い方のお姫様が俺を指さしこう言った。

「あの勇者様おちん〇ん見えないよ?」


 近くのメイドが姫の前に行き見えないように壁になる。

「姫様見てはなりません。あのようなもの」

「え、でも、みえないよ?」

「ハハハ、子供は正直だな、よくわかってるではないか」


「貴様、そこお動くなこの汚物めが」

 後ろの親衛隊が姫の前にでる。

「話が進まんな、おい、そこの兵士共俺の下半身が見えるか?」


「何を言ってやがる、そんな丸出しで……な、何だと、逆光で見えないだと」

「ふん、こちらから見れば丸出しに……なに~、精霊様達が勇者の出現に喜びの歌を歌っているあまりの多さに奴の下半身が見えないだと」


「精霊様より勇者に近づけばもう隠すものは無いはずだ……なに~、勇者出現に霊鳥が使い魔として現れたぞ、ダメだどんな角度でも霊鳥様が隠してしまう」


「ハハハ、わかったかね?神スキル自主規制の凄さが」

「ふむ、確かに見えんなワシから見ると丁度兵士の槍で隠れておる」

「しかし、王よ、これでは民たちに勇者誕生の報告が出来ませんぞ」

「ふむ、そうじゃの、それは困るのう人気取りのためにもパレードはやりたいのう」

 以外にセコイ理由だが、まあ、わかる。ちょっとだけ踏み込んで王の隣に行き話しかける。


「では、こうしたらどうだ」

「なに~、この距離を一瞬で移動だと」

 親衛隊が一足遅れて前に出てくる。


「貴様、それ以上近づくな」

「やめておけ、俺は勇者だ貴様ら雑魚兵とは違うのだぞ」

「おのれ、この全裸の変態野郎が」

 言い終わる前に必殺の突きを繰り出す雑魚兵。


 俺はその、剣先を指2本で挟んで止める

「無駄だ、貴様の動きは止まってるに等しいぞ」


「な、バッ、バカな、う、動かん」


「そのものは、親衛隊の中でも1番の使い手、それを、易々と」

「話し進まないからさ黙ってろ雑魚共、王よ、偽の勇者を立てればいいじゃないか、人気取りしている間にサクッと魔王倒してくるから」


「はあ?良いのか勇者よお主はそれで」

「ああ、構わん神がこの姿を見つけてくれたお礼にここ来ただけだしな、面倒くさいからさっさと魔王城に行って魔王の首取ってこよう」


 俺は光が入ってくる窓に向かって飛び上がり屋根の上に着地する。

「さて、霊鳥よ魔王城はどっちだ?」

「キュウイ」

「む、乗せていってくれるのかありがたいが小さすぎて乗れないぞ」

「キュウウイ」


 一回転すると巨大化した

「おお、便利だなではいくか」

「ギユウウウイ」

 霊鳥の上に立つとみるみるスピードあげて魔王城の上空まで来た。


「ふむ、ここか、では、行ってくるぞ」

 霊鳥の上から飛び降りて一番高い塔の上に立つ

「ふむ、ドアはこれか」

ドアノブを掴んで思いっきり引く、ドゴン

「ふむ、もろいドアだな」


 そこから降りたり登ったり片っ端からドアを開けていった。

「広すぎてどこがボス部屋かわからん訊こうにも誰もいないしな」

途方に暮れていると後ろから声をかけられた。


「貴様か全裸で場内をうろつく不審者は」

「ん?丁度いい魔王の部屋まで案内してくれ」

「はあ?貴様なんぞを王に会わせるとかありえんよ」

「まあいいか、じゃあ勇者が来たと伝えろ」

「なに貴様が勇者だと、ハハハこれは面白い冗談だ、お前なんかが勇者なら俺は魔王様になるわ」

「まあいいか、この中で魔王の部屋知ってるのいるか?」

「しってるのは俺だけだ」

「じゃあ、お前以外要らないな」

 バキツ、ボコッ、グシャ、バキツ、コキン、ボコッ、グシャ


 もういなかな?さて連れっててもらうかな

「あ、はい、こっちです」

「お前急に従順になったなまあ、いいけど」


 従順になった兵士を先に歩かせ案内をさせる、

「あ、ここです。このデカい扉の中です」

「ほほーデカいな、取っ手がないから押すのか?せーのっ!」

 ドゴン、パッカーン、ガラガラッ


「えー、この扉メッチャ硬い合金でできてるのに、何この全裸男」


「もろいな、まあいいか、どれ、魔王はどこだ?」


「き、貴様常識外れも甚だしいぞ、なぜ全裸なのだ?扉どうしてくれる!」

「キーキーと煩いな貴様が魔王か?」

「キーキーだと生意気な。俺様が代467代目の魔王ガジーーー」

「そーいや」

 手刀一撃で魔王の首を刈る。


「えー自己紹介中に倒しちゃったよこの人」

「もうここに用事は無い」

 魔王の首を掴むと天井をぶち抜いて空中で一回転ののち霊鳥の背に立つ。


「城まで頼むぞ」

キュウウイ


いつの間にか夜が明けていた。霊鳥の上で俺は、朝日の光が全裸の隅々まで浴びる。

「うむ、清められるような思いだなハーーハハハハハハ」


城がまたあの阿鼻叫喚に包まれるまであと数分である。


この続きはまた次回に……あれば!


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

持ってるスキルは最強。貰ったスキルは鉄壁。 @titimasa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る