ホールマイワールド

@keisha

第1話 ゼロ

チラチラとした蝋燭の灯りに照らされて、笑った女が闇を泳いでいた。


殺風景な壁に何をはるかと問われてもこんなものしか思い浮かばない。底の浅い僕の象徴のようで見るたび惨めに感じたが、見るたび癒されている僕もまた蝋燭に照らされている。


いつもはその顔はグデンと弛んでいるはずだったが、そのみかんには深く深くシワが刻まれている。


「あなたがしたことをしっている」


その文字を改めてしっかと見つめた。

暗い壁左上の方にその文字は刻まれていた。




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