急に決まった休日に、主人公は家でひとり、コーヒーを淹れます。彼を想いながら。今の自分は成長したかな?なんて思いながら。苦味の効いた大人の休日。素敵です。
余韻の苦味の表現、素敵でした
少しこだわりのあるドリップの入れ方一つに、遠く過ぎ去った想いが込められ、普段は気づかない事でもある時一気に思い起こさせる。古き良き想いは、きっと淹れたてのコーヒーが如くほろ苦い物なのでしょうね。
手順の合間にその人を思い出しては美味しいはずのコーヒーも物足りなくなってしまったり。コーヒーはよく飲むのですが、普段何気なくしているコーヒーを淹れるという作業が、美しい描写にされていて胸が震える思いです。ごちそうさまでした!
家で一人で過ごす、静かな時間。穏やかな空気の中に立ち上る、コーヒーの香り。その情景と芳ばしい香りが、読む者の心にもクリアに広がります。でも、コーヒーと同じくらいその空気に広がっていくのは、彼への思い。コーヒーを淹れる一瞬一瞬に、その人への思いが溢れます。静かで、暖かで、切ない——主人公の心の中が手に取るように伝わる、穏やかでほのかに苦い物語です。
この主人公と同じタイプの人間なのでとても 気持ちがわかりました。 考える事が無い時に限って 思い出してしまう。淹れ方が どうこうではないんですよねぇ~いつ おいしく感じれるんでしょう・・・
その時の気分で、味はころころ変わるのかもしれませんね。楽しい時には楽しいスパイスが、悲しい時には悲しいスパイスが隠し味として…ほろ苦い思い出を浮かべたコーヒーは、確かにいつもより苦くておいしくないの…かも?
タイトルを読んで飯テロなのにおいしくないの?って引かれて読みました。 そこはちゃんと消化されておーみごと、と思ったのですがネタバレになるのでここでは書けませんな。
生きていると、選択を迫られる場面が少なからずある。その総てに間違いのない結論を導き出すことは難しい。間違っていないと信じていても、未練や後悔が付いて回ることもある。それでも。いつか「おいしいコーヒー」を飲めるように、前を向いて歩いて行くんだなぁ。
主人公がコーヒーをドリップする描写と同時進行で自分もコーヒーを淹れたくなりました。心がゆったりしている時って、思い出に浸りやすくなる気がします。コーヒー豆と一緒にフイルターに入れて、ビターだけれど心の緊張をふっと和らげてくれる、そんな思い出に昇華できるといいですね。
タイトルにひかれて読んで、読んですぐにレビューを書きたくなった。そんな作品。丁寧に丁寧に言葉を紡いでいくと、日常にも深い深い味が出てくるんだなって。瞬間で頭の中に情景が広がるほどの表現。人間関係に最低限しか触れていないのも想像を膨らませるのに最適でした。素敵な時間をありがとうございました。カクヨムの中でも絶品のテイストだと思います。