部分公開 お泊り(なろう版15.16話)

「だいまー」

「おじゃましまーすってなんかテキトー!」

そこ反応するところか?

俺の家は、普通の住宅地の一角にある。

どこかのアニメみたいに、千住大橋のすぐ近くにあったりしないから、洪水の被害は受けにくい。

「おかえり。ってなんで、結城ちゃん連れて来てるの?気持ち悪っ」

「気持ち悪くてごめんなさいね」

「久々だね。七月ちゃん」

俺の妹は七月という。名前の漢字の由来は、七夕に生まれたから。テキトー過ぎやしませんかね!?

「なつきなつき言うな!恥ずかしいでしょ!」

「思春期だね」

「思春期だな」

「うっさい!勝手に部屋に引きこもってろ!マニア!」

相変わらず、口が凶器である。

それだから、どう足掻いても好きになれない。可愛げがないというべきなのだろうが。

「知生、中3ってこんなもんだから」

「そっか。そうだよな」

目尻に涙が溜まっていた。

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「うおー!相変わらずすごいね」

お前は小学生かと言いたいほど語彙がないぞ、今のコメント。

「知生の部屋に来るのも、五年ぶりくらいかな」

あの頃は可愛かったのに・・・あんなに一緒だったのに・・・夕暮れはもう違う色なんだぜ・・・

「五年前はさ、伊達メしてたよね?」

「あれ、度入ったマジモンのやつなんですけど・・・」

実はあの眼鏡はまだ持っている。修理に出すのが面倒臭いから、そのまま放置しているだけだ。

「かけてみた〜い」

「わかった」

俺は棚の中からそれを取り出そうとした。

しかし、見つからない。

どこにやったか見当がつかない。

でも根気よく探したら、見つかった。

「おっそーい!」

「おまえは、某旧日本海軍特型駆逐艦かよ」

「私って、メガネっ子でもいけそうだよね?」

「まあ、十分行けるだろうな」

「じゃ、知生と二人きりのときだけ、メガネっ子ね」

なんか、俺ってハーレム形成しちゃってんの?

「でも、あんたのことを考えてやってることじゃないことは理解してね」

世の中やっぱ厳しいのである。

「あと、いきなりで悪いんだけどさぁ。度合ってる?」

「全然大丈夫だよ!修理って言うけどこれただ単に度がほぼゼロ状態になっただけでしょ」

図星を付かれた!うぅ・・・

「レンズって何かと高いんだよ」

「そっかー」

ここで俺の男としての一面を見せる時!燃えてきたぁ!!

「飲み物持ってこようか」

「お願い」

「じゃ、行ってくるわ。あと、俺の机の中は漁るなよ。さっき見たと思うが、ゴミしか入ってない。片付けるの超大変」

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俺はそのまま下に降りて、台所に直行した。

冷蔵庫を開けて、麦茶のパックを取る。

「コップ2つとお盆だな」

独り言のようにつぶやきながら、今日の当番表を見た。

「七月、あのアマ!」

憤りを隠せられなかった。

何故か晩飯担当が、俺になってた。今日七月のはずなのに!

ま、いっか。

俺は部屋まで麦茶を運んだ。

16

「ありがとう。やっぱ、気が利くね」

おれは、褒められて伸びるタイプではないが、そんなふうに言われるとやっぱ嬉しい。

「そうか」

「なんか、テキトー!」

良いだろ別に男だから・・・

ふと、時計を見上げた。

「四時半か、もう」

「早いね」

「俺、晩飯作りに行ってくる」

「え、ホント!?私のために作ってくれるの?」

「ま、まあな」

「わーい!!」

いきなり、恵子が俺に抱きついてきた。

近い!顔近い!!てかちゃっかり匂い嗅ぐな!

俺はは、ちょっと顔を赤らめていた。

「知生さ、赤鬼みたいになってるよ」

相当なものだとわかった。

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先ほどみたいに、階段を降りて、台所に行った。

「あ、クソ兄、アイス」

「こんなに態度悪いとアイス投げるぞ!お客さん居るんだよ!」

そんなに注意したのは、二ヶ月ぶりな気がする。

あの時は勝手に俺の部屋に侵入して、プラモを片っ端捨てようとした。

よく手を出さなかったな。

台所のデスク部分に書き置きがあった。

『食◯のソーマの再現料理(^q^)ジュルリBy七月』

作れってことだろ・・・

なんとなく家にある材料を使って、蕩けるTKGと、なんちゃってローストビーフを作った。

え、他のはどうしたって?食材が高いんだよ!あと手間がかかるのとか多い!(サンマのぬか漬けなんて出来ないだろ?)

丁度みんなの分が出来たので、恵子を呼んだ。

「おい、恵子飯出来たぞ〜」

ドタドタ階段を降りてくる。

俺は滑るなと念じた。

「あ、」

滑った。某勇者さんみてえだな、おい。

俺はすかさず、受け止めた。

「大丈夫か?怪我ないか?」

「ダイジョブ、ごめんね心配かけちゃって」

(やっぱ、優しいね・・・)

「今なんか言った?優しいとかなんとか」

「・・・」

恵子の顔が真っ赤になっていく。

「うるさいなぁ、もう。ご飯食べようよ」

そのまま俺達はリビングへ向かった。

「兄ちゃん!これすごい!」

「美味しそ〜!」

なんか五年前に戻った感じだな。

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昔の西木田家

『今日はハンバーグ作ったぞ!』

『おー!お兄ちゃんすごーい!』

『トモくんってさ、やっぱ美味しいご飯作るよね』

『ヘヘッ、まあな。これも、七月とケイちゃんのためだよ」

「ともくん大(ry』

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「何ぼーっとしてるの?友◯みたいだよ?」

俺こんな人生弱者じゃないんだが・・・

「じゃ、食べるか」

「いただきます」

ご飯がススム蕩ける卵そぼろ。久々に食ったな。

べ、別に脱ぎはしねぇからな!

「ごちそ〜さま」

「ごち」

相変わらず俺の妹は態度が悪い。

「久々にお兄ちゃんって言ってくれて嬉しかったぞ」

俺は頭を撫でた。

「バカ!死ね!クズ!」

「照れ隠しが下手くそだな。そこも可愛いけど」

「そうだね、まだちょっと子供っぽいってことだよ」

何気なく風呂に入って、寝ようと布団を敷こうとしたら、すでに敷かれていた。

そしてまた、書き置きがあった。

『熱い夜、楽しんでねヤセンダ-∠( ゚д゚)/』

夜戦だ!腕がなるぜ!!(某川内並感)

「ふむふむ、そんなに、おばさんになりたいの?七月ちゃん」

「知らん」

「というか布団じゃなくてベッドがダブルになってるだけじゃねぇか」

あいつも無理やりなことをするなぁ。シングルベッドを無理やりダブルにして・・・

「ねよっか」

「うん」

実際、狭いところに二人だとキツイ。

「暑っ苦しい」

「しょうが無いだろ」

「私のこと、犯さないでね?」

「バカ、犯すかよ」

「エッチな夢は?」

「見るかもな」

「妄想の中で私を再現する?」

「知らん。てかそれ、渋谷のトラウマゲーじゃん」

「私ね、」

「ん?」

「好きな人居るんだ」

お前にもいたんだ。

「誰だ?」

「うふふ、教えな〜い」

締め付けるな!辛い!苦しい!

と思ったら、寝ていた。

                       続

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