『侵蝕』

作者 @syukitada

11

5人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

初老の私はラノベに馴染みがありません。格好良く言えば、正統派読者、いや古典派読者か。つまり、読者に先を見透される小説は駄目。そう思い込んできたのですが、カクヨムに彷徨い込んでからは、お約束事の展開も有って良いかな、と思うようになりました。それでも、余りに御都合主義が続いたり、堂々巡りばかりで深みの出ない作品には食傷気味になるのですが、本作品は楽しく読めました。登場人物の人間関係はお約束通りですが、丁寧に繰り広げられているので安っぽくは感じませんでした。
ところで、大竹さんのレビューは厳しいですね。とは言え、指摘事項に全て頷いてしまいます。でも、私はやっぱり星3つかな。

★★ Very Good!!

 本作はライトノベルである。 それを前提としてレビューします。

 ライトノベルというと、安直なキャラクター設定、難解な定型句を重ねたお定まりの描写、理屈のないストーリー展開、妄想の強い舞台設定などが特徴であるが、本作もその呪縛からは逃れられていない。が、呪縛ありきのライトノベルと割り切って読むと、それほど出来が悪いわけでもなく、分かりやすいキャラクターや、案外読みやすい文体、丁寧なストーリー展開など、存外ストレス無く読み終えられる。が、逆に、それだけライトノベルとしてのライトノベルらしさは失われているのかもしれない。

 本作の長所は、やはり読みやすさ。読解上のストレスがとにかく低い。ここであとほんの少し、読者を駆り立てるスパイスを付け加えることができれば、かなりの作品に生まれ変わることも可能だろう。

 もう一つの長所は、わかりやすいキャラクターだ。魅力的であるかどうか、ありがちであるかどうか……は置いておいて、キャラクターが分かりやすい。セリフに変な語尾をつけたり、ネコミミとかいうしょーもない属性付けに頼ることもなく、分かりやすいキャラクターがバランスよく配置されている。

 そして短所は世界観の甘さだ。
 舞台設定が異世界なのか、現実世界なのか? 中世なのか近現代、あるいは近未来なのかがどうしても曖昧。ここはやはりきっちり決めて読者に提示すべきである。
 世界観というと大げさだが、これはすなわち登場人物たちの普段の生活のことなのだ。
 ナポレオンは、「その民族の普段の生活を見れば、戦時にそいつらがどう動くかか分かる」と豪語したが、まさにそれである。
 キャラクターは、というか人間は、普段の生活や、習慣に縛られて行動するものだ。価値観だって、昭和の人間と室町の人間では全然ちがうものだ。

 本作では、剣や弩は使われているが銃はでてこない。が、写真や万年筆は存在し、『… 続きを読む