第3話 幸せのハジマリ。

「この度はご婚約おめでとうございます。」

すれ違う民衆は皆口を揃えてその言葉を述べる。何度も何度も言われているはずなのに、隣に座る奴は聞くたびに頬を緩ませている。


「ねぇ、ユノ~。私たちって、やっぱり結婚するんだね。」

「何度も何度も言わせるな...。そうだと言っているだろ? あと、あまり此方に寄るな、暑苦しい...。」

城へと続く石煉瓦造りの大通りを悪魔達が引く馬車に乗って進んでいく。その馬車に乗るのはユノとメノア。このパレードは2人の婚約発表パレードなのだ。


「む....、相変わらず面白くない。しっかし、混雑してるね~。」

「五月蝿い。...ああ、ここまで民衆が集まるとは思ってもいなかった。」

常時開け放たれている窓の外を覗くと、一言でも祝いの言葉を伝えようと集まったヴァンパイア達で溢れていた。皆、笑顔だ。


今日は雲ひとつない美しい闇が広がっている。紅い月も2人を祝うように輝いている。ユノは珍しく頬を緩ませ、メノアはそれを温かく見守る。2人はもう一度窓の外を覗き民衆へと手を振った。

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ハジマリとオワリ。 黒豹 @Jet_blackangel

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