第4話 決意

西のゴルゴン。

3年ここでいきのびれば、莫大な報奨がもらえる。

この平和な王都とちがい海沿いの隣国に隣接するゴルゴン地域は輝石の姫を狙い頻繁に小競り合いがある地域。海につづく両サイドの河を挟んでの侵略の防衛。輝石姫の力が弱まる所でもある。媒介である妖精石も輝石の姫がいないとその効果は薄いので、いずれにしても何人かは定期的に訪れないとダメなところでもある。

かといって、輝石の姫がまったく常駐していない訳では無い。

ここの要は、ガーネットの輝石を持ち、赤の将軍として名をはせる赤髪の美女フレア様。

2児の母でもあり、寡黙な副将サーフェスを夫にもつ。2人とも今もなお、最前線で指揮をとっているという強者である。けれど、

毎年、300人ほど参加するものの、3年も生き残り無事に王都に帰れるのは極わずかだという。毎日、最前線の戦場。応募資格は、14才以上であれば、男女問わず。衣食住は最低限確保されるので、行き場の困ったものたちには都合の良いところ。温室育ちのお嬢様がまちがっても行くところではない。

ヴァルキリーを卒業する今年、クロコは両親にも学園の友達にも告げずに、ゴルゴンに行こうと決意した。

クロコには、輝石の力はあるものの、その他大勢にあるような石の力しか出せない輝石の姫...

この国では、「クズ石姫」とよばれている。


ダイヤモンドやサファイア、ルビー、エメラルドといった希少な輝石の力を持つ娘たちであれば、正式な光の姫として王宮にかくまわれ、衣食住を保証される。

国の宝飾を中枢を支えるのだから当たり前なのだろう。同じく、この国に生まれ光の龍の加護を受けているのに格差は生まれる。それは、個性とよばれればそれまでだが、需要と言うものは公平ではない。


その力の使いようも個人の差がでるので、守りの盾をダイヤモンドで出せるか石ころで出せるかではその素材に寄って雲泥の差は否めない。

イメージ力にも、作用されるので、鎧の様に纏ったり、飛行の為に翼にしたりと自由自在な力ではあるが、実際にはひとつのことに特化していれば十分でそれが普通である。



クロコにとってオニキスの力は、必要な力で生活に密着した使い方を主としているので、それほど特殊な能力特化しているわけではない。なので、世間一般の評価などは高くないのが現状。そして、学園の成績もまた...そんなこんなで行き場を失ったクロコは、1人でその力を試してみようとおもった。

王都から離れて3年...生き残れればラッキーかな?

軽い気持ちも..女だからと、キッパリさっぱり同年代の男子に力負けしたからとか...多感な少女であることには変わらない。悩み多き乙女である。

そんなクロコにとって王都は、世間の目とか人間関係の煩わしさとかしがらみとかがんじがらみになってる自分がどうしようも無く...吹っ切るだけの理由もまた、ただ生きるというのが、納得もいかない場所であった。


ネイは...どうするのだろう?

何となく、親友であり、学友でもある彼女の笑顔を思い出しながら、ゴルゴンに行くための書類を提出しようとしているとまさしく彼女と出会った。

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輝石と卵 @texxle

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