第3話 妖精石の加護

 改めて妖精石の重要性を今日の授業で聞いた為か、夜ベッドに潜り込みつつ、窓辺からの月を見上げる。

 この付近にも、確か妖精石はあったのを脳内に地図をイメージして、ぼんやりと思い浮かべてみる。が、しかし、肝心の妖精石がどんな形大きさをしているのかまでは、イメージできなかったネイは、寝る前だというのにすごく気になりだした。特に、明日テストにでるということではないけれど、卒業間近で、進路に対して、親友であるクロコもまだ、決まってなくて、ちょっと安心しつつも不安な日々が続いていた。

 うーん、ほんと、どうしよかな?女官っていう手もあるけど、うちは代々武門系で、両親は現役軍人。私は5人兄弟の3番目で、兄が上に2人。下に双子の弟と妹がいる。文武両道の長兄は、父と同じく軍人になっている。同じく優秀だけれと、次兄は、軍医になっている。双子たちはそれぞれ弟は男子の騎士養成学校へ、妹は私と同じヴァルキリーへ。私と違い兄2人と双子とも両親のいいとこどりな上優秀で容姿端麗ときている。兄2人は既婚者...双子たちも、小さい時はどちらがどちらか見分けがつかない程だったけれど、男女の差がではじめると、弟は兄たちに負けないくらい甘さを残しつつカッコよく成長しているし、妹はこれまた、天使かと言うほど...ピンクブロンドが似合う...姉の私よりも先に嫁ぎ先が決まりつつある。


 私はというと、平凡。兄弟たちの中で今ひとつ冴えなく、つまりは出来損ない...クロコちゃんとこも兄姉が優秀な分...そんな所も、意気投合した理由でもあるけれど。婚約して結婚するのが無難なんだろうなぁ...ため息をつきつつ、また、妖精石を思い出そうとするがなんともぼんやりしてて、そうこうするうちに眠気がやって来て眠りについてしまった。ただ、眠る前に誰かの笑い声を頭の遠くで聞いた気がする...。


気がつけば、月の光のを受け、夜の草原にいた。そして、目の前には、巨大な岩?石?

マッチョな男性が横に並んで、両手を広げて...うん、5人は並んでもいけそうだわ。

ムキムキなマッチョなおじ様達が目の前に並んでるのをちょっと暑苦しく想像しながら、見上げる岩は、月の光をうけてその存在感を誇示していた。

そしてまた、耳の奥に笑い声。

風が背中をなでていくのを感じながら、岩の上に登ると...夜空に輝く月が捕まえられそうで、吸い込まれそうな...現実が希薄になり、水の中をさ迷うような感覚がネイを襲う。酩酊状態...なんだかよい気分...お酒はまだ飲んだことないけど、きっと飲んで程よい酔いというのはこんな感じなんだろう...ぼんやりとする頭で周囲をみまわすと、すぐそばに天使がいた。


銀髪が月の光を弾き、効果音までキラキラしてるようだ。少し緩い曲線の髪の流れまでが美しいのに、目がアイスブルーでほとんど銀色。顔を輪郭からなにから、陶器のお人形さんのように整っていて、首から下のスラリとした肢体の細いこと...かろうじて薄い胸が少年を匂わす。少年から青年に向か独特な色気がただよう。

あ、妖精とか天使とかって、ほんといたんだ。ほんの少し残った冷静な部分で本能的に感じる畏怖。それを遮るように、銀髪の天使が手を広げるとそのまま身を委ねた。


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