第2話 もう一人の彼
玲奈さんは学校には来ているがもちろん部活はやめたので来ない。前は見るたびにビクビクしていたが会うこともなくなったのでそれもなくなった。
「奈那子、おはよう」
「おはよう」
彼女は大川花音。私が大学で一番仲良くしてる子だ。
「玲奈さんすごいね、メジャーデビューしたじゃん」
「ほんとね」
「部活やめたんでしょ?」
「忙しいからね、部活やってる暇ないでしょ」
「そうだね、でも奈那子的には嬉しいんじゃないの?」
「まぁね」
「玲奈さん苦手だったじゃん」
「うん、だからもう会わなくていいのは安心だよね」
「ルックスも良くてドラムも上手頭も良いなんて完璧過ぎて女の子は夢中になっちゃうよね」
「性格に難はあるけどね」
「まぁ、そこでプラマイゼロなのかな」
「奈那子さん!」
「あ、千聖(ちせい)くん。planeTの練習?」
内海千聖くんは私の1つ下の高校3年生で玲奈さんと同じバンドのplaneTのギターボーカルを担当している子だ。たまにここの大学のスタジオを借りて練習をしているらしい。
千聖くんは愛想がよくて玲奈さんとは対照的だ。
「うん、玲奈さんが次のライブまで時間がなくて授業のあとすぐ練習したいって言うからさ」
「そっか、今度ライブあるんだね」
「奈那子さん来る?」
「私は行かないな、でも他の部員は行くみたいだよ」
「えぇー、奈那子さんに来て欲しかったのに」
「ごめんね、私その日用事あって」
そのライブの日は私が楽しみにしていたアニメのイベントがある。だからライブには行けない。
「残念、次のライブには来てね」
「うん、行くね」
「じゃあまた!」
「またね」
「年下くんといい感じじゃん」
「そんなことないよ。でも、あの千聖くんがメジャーデビューしたバンドのメンバーだなって思うと遠い存在に思う」
「そうだね」
「これが幼なじみの彼でずっと小さい頃から一緒だったのに彼は人気バンドのメンバーもう雲の上の存在で昔のように隣にいれない女の子だったら萌えるのに。」
「一瞬にして話作ったね」
「こういうのは得意だからね」
「得意そうだよね」
「妄想なら任せて、ねぇ、花音、帰りアニ○イト寄ってもいい?新作の予約してた乙女ゲームが今日発売なの」
「はいはい、奈那子が寄りたいところならいいよ」
「やった!」
千聖くんは私にとって雲の上の存在だ。
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