北方の小国の王子・アドルバードは、へたれでシスコンで想い人よりも身長がちょっぴり低い正真正銘のオトコノコ。
なのに、最強で最恐な妹姫リノルアースの策略により、妹姫の替え玉として大国アルシザスを訪れなければならなくなってしまう――もちろん、女として。
そんな不憫を絵に描いた王子(?)さまの受難の日々、開幕。
コミカルにテンポよく進んでいくお話は、いつの間にか時間を忘れて読み耽ってしまうこと請け合いです。
アドルを取り巻くキャラクターのひとりひとりも、個性豊か。
彼に忠誠を誓う美貌の騎士に、これまたヘタレなリノルアースの子犬系騎士、女好きのクズと評判のアルシザス王。
おバカなやりとりをしつつも、時折その生まれや立場から切なさを滲ませるキャラクターたちの恋模様を思わず応援したくなってしまいます。
(私の推しはだれがなんといおうと、アルシザス王です! がんばれ負けるな陛下! THE☆ヘタレ!)
不憫でへたれで身長も王位継承者としての資質も発展途上ながら、人たらしの片鱗を見せるアドルのこれからが楽しみでなりません。
だれかがだれかを想いあう、いとおしくやさしい物語。ぜひ、ご一読を。
南国受難編完結に際してレビューを更新させていただきます。
面白おかしく、それでいて、とても優しい物語でした。
愛情のあたたかみを感じるんです。愛するとか、愛されるとか、こうであってほしい、と思えます。
終盤起こった事件の結末ははっとさせられる展開でしたが、そのほか、全体を通じて、あんまりひとを傷つけるということがありません。悲しいこと、つらいこと、苦しいことを忘れて、穏やかな気持ちで笑うことのできるお話です。
主人公のアドルバード王子(以下アドル王子)とその双子の妹リノルアース姫(以下リノル様)は本当に大事にされて育ったんだろうな。愛された子供は愛することのできる大人に育ちます。双子、特にアドル王子は、きっとこれから誰かさんやリノル様や大勢の民を愛して生きていくんだろうなあ。そんなことを感じさせられるのです。
愛されている、という点で中でも印象に残ったのは、前述の事件の結末、騎士のルイとリノル様のやり取りです。そうか、リノル様は15歳の女の子なんだもんな。誰かを大事にするということはこういうことなのかな、と思いました。
アドル王子はいいぞ。
とにかくいいやつ。一生懸命ツッコミをやっているのですが時々ボケています。読者である私が「お前は何を言っているんだ??」と言いたくなるような時もある。だが、それがいい。アドル王子はそれが可愛いんだ。アドル王子のずれたツッコミに画面の前で笑うこと間違いなし!
時々男を出してくるところもとても愉快(すごい失礼……)。頑張れアドル王子……私は君の味方だぞ……。
レイはそんなアドル王子をはるかに上回るイケメンで、美形にしか許されないであろうことをさらっと言ったりやったりできちゃうんだよなあ。こりゃアドル王子は大変だぞ。アドル王子の明日はどっちだ!?
アドル王子とレイだけでなく、カルヴァ王、リノル様、ルイ、みんな本当にいいやつ、いいこ。なんだかもう、みんなまとめてハグをしたい気持ちです。
続きも楽しみにしております。
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(※以下物語が始まったばかりの4話の頃に書いたレビューです。)
双子の妹の代わりに女装して外国にお出掛けしなければならなくなった王子様のお話。
まさかボーイズラブ三角関係……!? と思っていたのですがそんなことはなかった。してやられた。
いやでも私はクズのアルシザス王にももっと頑張ってほしい、アドルバード王子が困るところをもっと見たいです。
ネタバレになってしまうのでレビューでは多くを語れません。残念。悔しい。
次々とアドルバード王子に襲いかかる試練に笑いが、失礼、涙を禁じ得なくなるので、電車の中とか人目が気になるところではなくにやにやしてもいいところでお読みになることをオススメいたします。