最初は少女の話に付き合うのを嫌がっていた少年・ロベルトでしたが、そんなことはすっかり忘れ、段々とのめり込んでいきます。しばらく話し込んで、ようやく少年は真実を知ることになるのですが…。最後はおどろきのどんでん返し。ストーリーの流れが絶妙です。少女の話しぶりは迫真で、それに圧倒されておろおろするロベルト。結局、少年は自身についてのいくつかの情報を彼女に与えたけれど、少女の情報は一つだけなんですね…。
ケストナーやリンドグレーンがお好きな作者。その香りとともに、かのかのさんの個性が感じられる、逸品です。駅で電車を待っているロベルトに話しかけてきた女の子。ちょっと苦手なタイプだったのに、だんだん話に引っ張り込まれます。ふたりの会話は生き生きしていて、読んでいる人もお話の輪に加わるような感じになること請け合い。こんな女の子に振り回される、ロベルトの様子がありありと目に浮かんで、微笑んでしまいます。