ココナッツサブレの歌を聴け

作者 大澤めぐみ

113

42人が評価しました

★で称える

レビューを書く

ユーザー登録(無料)をして作者を応援しよう! 登録済の方はログインしてください。

★★★ Excellent!!!

――

何年か後、僕はアメリカに渡った。22枚入りココナッツサブレの墓を訪ねるだけの短い旅だ。

墓は28枚入りココナツサブレの墓の隣に、ひっそりと存在していた。それはまるで、豊かな水を湛えた惑星の傍で岩とクレーターしか持たない衛星のように、みすぼらしく小さかった。
僕は墓に途中で買った花を22枚入りココナツサブレの墓に手向けると、腰を下ろしてゆっくりと煙草を吸った。

「この世界の複雑さに比べれば」と作家のハートフィールドは言っている。「我々の人生などココナッツサブレの包装程度のものだ」そうありたいと、僕も願っている。

★★★ Excellent!!!

――

 出来事の背景には、企業のコスト意識や、消費者の製品に対する安全志向の移り変わりがある。
 しかしそういった野暮な理由に一切触れずに、時代に流される製品の移り変わりを大人のためいきとして描いた小粋な良作です。
 勢いで書いたからか、改行などに不備が残っているところがちょっと残念です。

★★★ Excellent!!!

――

 ココナッツサブレが28枚1パックから20枚4パックになったことを村上春樹風に嘆く。これはそれだけの小説です。冗談抜きに全て説明しきりました。本レビューは「ネタバレ禁止」の条項に触れていると言われてもおかしくないぐらい、それだけ。

 で、それだけのことに約4000文字費やした小説を最後まで読み、更にこんなレビューを残していることからも御察しの通り、面白いんですね。何かするする楽しく読めてしまう。これはすごいことです。ストーリー性皆無な文章を4000文字読ませるのですから。いや、村上春樹なんで読ませるのは当たり前っちゃ当たり前なんですけど、物書きなら誰でも村上春樹になれるわけではありません。テンポとか会話の運び方とか口説くなりすぎないバランスとか、そういう文章感覚は作者様特有のものでしょう。同じことを語るにしてもつまらない面白いは絶対に出てくるわけで、この小説はどうでもいいことを面白く書く際の教材として有用なのではと何となく思いました。

 しかし、なんでココナッツサブレなんだろう。村上春樹風は分かる。そういう遊びがあるのは知っている。だけどなぜそれとココナッツサブレをくっつけようと思ったのか。いったいどこにトリガーがあったのか。謎

★★★ Excellent!!!

――

ココナッツサブレの時代を追う話です。

発想がいいですね!

時代を追う毎に、縮小していく社会、まるで切り詰めて生活しているような現実感を帯びていきます。

そして極めつけは個包装。

まるで今までの物量に開放的だったバブル時代を終え、個人の価値さえ見失う。

社会の縮図と共にココナッツサブレという親しまれているお菓子の流れが妙にマッチしていました!

まぎれもなく良作です!

次の話にも期待して、星3つ送らせて頂きます。

★★★ Excellent!!!

――

ココナッツサブレの内容量が28枚から25枚に。25枚から、22枚に。最後には20枚、しかも5枚ずつの小包装になってしまった。

この事実に関して延々と語られる。しかし、なぜかとても引き込まれる。

時代とともに、ニーズによって様々なものが姿を変えていく。それを良しとするものもあれば、受け入れられないとするものもいる。受け入れられなくとも、流れに逆らうのは実に困難。「これでお願いします」と言われれば受け入れざるを得ない。

一気食いしたい人に小包装は味気ない。

★★★ Excellent!!!

――

ぼくはセサミハーベストのほうがすきだ、と言い返そうとしたけど、彼女があのキラキラ輝くハードビスケットをカリコリと咀嚼するたびに、そんなぼくの反抗する意思も粉々に砕かれ、喉の奥に飲み込まれていってしまうようだった。