「十五少年漂流記」とは異なった顚末を迎える漂流記。文字数的には漂流記メインですが、本筋は別に有ります。凝った構成です。本筋の方を膨らませたら、もっと骨太の物語になったのでは?と思いました。今のままでも十分に骨太ですが...。読者に色々と想像させるのが作者の意図なのかもしれません。確かに想像してしまいます。星の数は、短編にはMAX2つが信条だからです。
遭難した10人の人間がある島で生活する話です。視点が何よりいい! 警察が尋問する所から始まり、雲行きが怪しいぞと思わせる冒頭は緊張感漂っています。そして驚愕のラスト。彼が何を望んでいたのかが、わかり、はっとする瞬間、これこそミステリーの王道だと思いました。次の作品に期待して星3つ送らせて頂きます。
じわじわと迫る狂気は『蠅の王』を彷彿とさせます。結末は見えているのに、読むのをやめられない。そんな強い引力のある物語です。
船が沈没し、無人島に流れ着いた十人の子供たち。最初は協力して生活する彼らですが、その秩序はやがて狂っていきます。極限の環境下で起こった悲劇。その実態が少しずつ明らかになる毎に、背筋が寒くなっていきます。