第1話 覚醒

「何か面白い事ないかなー。」

彼女はそう呟きながら窓の外を見ている。

彼女の名前は観音寺鏡花。黒い髪の左側と右側を頭の後ろで結んでいて、残った髪は肩まで伸びている。春休みが終われば中学1年生になるのにその透き通る様な水色の瞳は寂しいそうに窓の外を見ている。


彼女は最近クラスの女子に仲間外れにされたり、無視されていた。


彼女は誰とでも仲良くなれるタイプで、優しくて、勉強も運動もできた。だからか、クラスの大半の女子は彼女を嫌っていた。だから彼女はいつも一人だった。


次の日の朝信じられない事が起こった。彼女は時計を見ようた思って、冗談半分で時計に手を伸ばして、頭の中で(こっちに来ないかな?)と念じてみた。そしたら時計が彼女の手に飛んで来た。

彼女はこれが夢か現代か解らなかった。彼女は他の物で試してみた。どれも彼女が念じるだけで彼女の掌に飛んで来た。

彼女はこの力の事をネットで調べてみるが、この力について何も書かれていなかった。彼女はネットで調べるのをやめて、この力を使う練習をした。


彼女は練習して解った、彼女の力は物を引き寄せる力では無く物を操る能力だという事を。


二日後彼女宛の手紙が来た。手紙は学園からの招待状だった。

彼女の両親はとても喜んだ。噂ではこの学園には天才しか入学出来ないと言われていた。

「偉いわ、鏡花。お母さん鼻が高いわ。親戚にも自慢しなくちゃ!」

昨日までは従兄妹が入れた私立の中学に入学出来なかっただけで、彼女の事を友達も作れない、私立の中学にも入学出来ない無能だって、さんざん言っていたのに。彼女が天才の学園に入学する事になると急に褒めたり、優しくしだした母親の行動に彼女は少し胸を傷めた。

(やっぱりお母さんは肩書の事しか興味が無いんだ。)



三日後手紙に書いてあったとおり迎えが来た。彼女は両親と別れて、迎えに来た黒い車に乗った。

彼女に心残りも、両親やクラスメートと別れて辛いと言う気持ちは無かった。

学校にも家にも彼女にとって縁になる場所が無かったからだろう。

車が走り出してから10分後彼女はいつの間にか寝ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

一度終わった世界(崩壊までの3年間) 中島鏡花 @kyouka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ