第3話 約束とキッカケ…

帰る頃には雨が止んでいて、ちょうど良かった。駅まで一緒に話しながら歩いた。

また明日ね!と手を振りながら笑っていた。

その笑顔を見て、あぁきっとあの笑顔に女子は惹かれてるんだな…納得だわ。と感心していた。まぁ明日は難しい本でも持って行ってやろう。そしたら、どんな顔するんだろう…

家に着いて、翌日の準備をしていた。

鏡を見たら口角が上がっていて、そんな自分にちょっと照れた。



次の日


学校がいつも通り終わると彼が壁から顔を出して、「昨日の場所で待ってる」と言っていた。私は笑顔でうなずいた。

カフェに着いて早々、本は持ってきた?と聞いてきた。なんだ本が先か…はっ!何考えてるんだ私。

昨日選んだ少し厚みのある本を手渡すと、眼鏡をつけて読み始めた。普段は見ない雰囲気だからだろうか。こう見るとなんだか頭が良さそう。

「どうしたの?そんなに見つめてきて。奏も一緒に読む?」と、言って隣に座ってきた。

「そ、そんなんじゃないよ…私は何度も読んでるから、大丈夫よ。」

いきなりの呼び捨てと急接近…こんな慣れない状況によ余計緊張してしまった。

なんでだろう…すごく熱い。ドキドキと鼓動が早くなる。


「顔が赤いけど大丈夫?熱でもあるの?」

「別にそんなことはないよ…ただ少しドキドキすしただけ。あっあんまり距離が近いと他の生徒に見つかったら何を言われるかわからないよ?だからもう少し…」

「そっか。俺の心配してくれたのか…でも、あんま気にしなくていいよ?」

笑いかけてから心配そうな顔をして、私の額に手を当てた。すると、顔をゆがませてから「手でやっても分からないな~熱はどうかな~」と言って、額を合わせてきた。

「ちょっつ!!ちょっと!!!さっきの話聞いてた!?」

「うん、奏も俺の話聞いてた?気にしなくていいから。俺は奏とずっと話したかった。やっと叶ったのに周りの奴なんかの為にまた我慢するのはもう嫌だな…」

「それどういう…なにいってr…」



 どうして、あなたはびっくりすることを普通にできるの…私の思考回路はもう追いついてはいなかった。言いかけた言葉の中で彼がしたことは突然のハグだった。

そのあと、君は小さな声で「あの雪の日に会えた君とこうして…」と言った。

えっ?雪の日?そのあと彼に聞き返しても、なんでもないよ。今日はありがとう。というだけだった。どうしてあんなことを言ったのかな…謎を抱えたまま時間は過ぎていった。


「奏、俺のこと名前で呼んでよ!空って呼んで!」

「えっいきなりすぎr「「「いいから早く!!」……。」

遠くなる彼の後ろ姿にさみしさを感じた。それのせいなのか私は大きな声で「空君

また明日ね!!」と叫びながら手を振っていた。

恥ずかしくてたまらなかった。でも名前を呼ぶことはなんだか嬉しかった。


カフェの後、用事があるといってそら君とは別の道で帰ってきた。

やっぱりなんだかさみしい…



――――――――――続く


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空〈あなたとわたし〉 恋音(れおん) @Maltiel

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