戦国猫時代 参の巻

 僕は部屋から出て、階段をゆっくり降りる。


康政やすまさ「あっツグにい早くー、今日は父さんが送ってくれた魚だよ!!」


直政なおまさ「カツにいが、煮付け作ってくれたよ…あれ?ツグにい、顔色悪くない?」

康政と直政が顔を覗きこみ、大丈夫?と聞いてくる。


忠勝ただかつ「風邪か?首にネギ巻いとくか?」

…渋い、兄貴。


忠次「大丈夫だよ、バカ…いやポンコツだから風邪引かないよ、よし!!食べよう。」




しまった、やってしまった。あんな駆け引きしなければ良かった。


謎の猫に弱みを握られて、その上ものすごい秘密を抱えてしまった。


~数分前~


忠次「わかった、わかったから。絶対に話せることは秘密にするから、その件については、内緒にしてくれ。頼む。」僕は頭を下げた。


そう猫に頭を下げた。



イエヤス「…ニャ?してくれ?頼む??それが忠次の頼み方にゃのか?なんだっけにゃ~?あの本のタイトルはえっと~『金髪~

忠次「わかった!!いやわかりました!!内緒にしてください!!お願いします!!」と僕は猫に対して深々と頭を下げていた。


イエヤス「…仕方ないにゃー、内緒にしてやるにゃ」

良かった~内緒にして貰えた。優しい猫だ!!


…あれ?いや違うだろ。おかしいだろ!!

逆だろ!!

立場!!


イエヤス「忠次、それとお願いがあるにゃ。」


お願い?なんだこれ以上何かあるのか?


イエヤス「あれ覚えてるかにゃ?1ヶ月前くらいにお前の親父さんが送ってくれたおさかにゃ。」


魚?あぁアカムツのことか。


忠次「アカムツ?」


イエヤス「そうにゃ、それにゃ。いやその魚を週に一回とは言わにゃいにゃ、半月に一回食べさせて欲しいにゃ。」


アカムツを半月に一回?あの高級魚を?


忠次「待ってくれイエヤス、あの高級魚をか?キロ一万くだらないんだぞ?」


イエヤス「キロ一万?ちょっと猫にゃわからにゃいにゃ。…あれを食べれば秘密を守れると思うにゃ!!」すごく尻尾をふっている。


…秘密バラされる?



忠次「あぁーーどうにかするよ!!」髪をぐしゃぐしゃにする。


イエヤスが巨体を跳ねさせて、喜んだ。


イエヤス「やったにゃ!!が食べれるにゃー、じゃあ早く忠次ご飯食べて来るにゃ。内緒にゃ!!」


俺にとって不利な謎の契約が出来てしまった。


そして階段を降りてリビングの机に座り飯を食べる。


康政が魚を箸で持ち上げ直政を見る。



康政「知ってる?アカムツって前、父さんが送って来たじゃん?アカムツてね『のどぐろ』とも言うんだよ!」


直政「へぇー、これは?」

と箸で魚を持ち上げる


忠勝「ブリだ。」


うまいな煮付け。兄貴は味付けが上手だ!!



しかしアカムツってのどぐろって言うんだな。

康政、物知りだな~



のどぐろ?あれどこかで聞いたな。




あの猫わかってやがった、


また僕は欺かれたんだ。















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しゃべる猫は僕に説教する。 朝花倉 @Yutokaza

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