※作品は絶対評価したいので星の数はぜんぶ二つです。じゃあ三つでもよかったじゃないって? ほんとそれ。
※最後まで読んだ感想です。微妙なネタバレもあるかもしれません。
誰もいない、宵闇の街。空には謎の天体が三つ。化け物がウロウロとし、何故かマンションも建っていて、住める。
迷い込んだ異世界の名はゲシュタルト。そこにいるのは少女と少女。二人きり。何も起きないはずがなく……。
↑というのをレビュータイトルにしようと思いましたが、あんまりにひどいのでやめました。自制心が働いた自分を褒めてあげたいです。
ゲシュタルトには、さまざまな欲求不満を抱えた(意訳)人々が迷い込む場所とされています。アニマ、アニムス、ユング、フロイト、そういった世界観の場所だと思えばよかろうと思われます。
そこで繰り広げられるのは、“夜獣”や“灰人”と呼ばれる怪物たちとの丁々発止なバトル&アクション―――は、添え物で、主題は、いろいろと入り組んで山よりも高くなった情と谷よりも深くなった業が織りなす愛の物語。分かりますか。愛だよ愛。アガペー的なあれじゃなくてちゃんと性欲もあるぞ。な奴です。
そんな愛に生き、愛に殉ずるイカれたメンバーを紹介します。レビュー主の独断と偏見が多分に混じっていますが。
〇楓―――
強さと弱さと儚さを併せ持つ本作の狂言回し。美しい顔をした俺っ子、もとい、トランスジェンダーの少女。
身体は女、心は男、立ち居振る舞いヒーローでメンタル豆腐な主人公でした。
ゲシュタルトでは剣を振り回し、ヒロインの春菜を守るべく、見事なまでの騎士ムーブと童貞ムーブを繰り返し繰り出す猛者です。かわいい。などというときっと怒り出す面倒な性格。
〇春菜―――
琥珀(こはく)色の髪と瞳をもった、文学少女な楓の幼馴染。楓の欲求不満(意訳)に巻き込まれる形でゲシュタルトに迷い込んだと思われたが……?
身体能力に秀でる代わりに精神的に情緒不安定な楓を持ち前の母性でサポートする立場。それを利用して、風呂場では彼女の遠慮なく揉みしだくエロガッパでもある。
終盤にお出しされた彼女の深層は、さながら真夏の東京都心並みの湿度でありました。いいぞもっとやれ(灰人並みの感想)
〇セルフ―――
ゲシュタルトの案内人で、少年の風貌をした人外のナニカ。レビュー主は、そのときちょうど観ていたとあるアニメの影響で、彼のCVを緒方恵美さんで固定してしまった。非常に高い脳内再生力をもっていたので、仕方がない。敵でもない、味方でもない、心理を読み解く努力がほぼ無駄な存在。
〇ジャック―――
後半に登場する楓たちの協力者。名前はジャックだけど、女性。煙草を嗜みバイクを駆り、敵をちぎっては投げするハードボイルドな女傑の正体を知る時、恐らくすべての読者「おお」となるでしょう。
冥闇に浸る耽美的な魅力を持った小説です。ぜひ、読んでみてください。