簡潔に説明すれば、本屋が頭の壊れた陰陽師を雇って万引き犯と戦う話です。といってもゴリゴリのシリアスではなくて、基本コメディですよ。
本来なら笑っちゃいけない万引き犯ネタですが、最凶の店長が暴走するおかげで笑いころげることができます。いいですか、最強で最凶ですよ。彼のマシンガントークから繰り出される精神攻撃は呪符より強力だし、万引き犯より邪悪な存在であります。
――しかしそんなコメディの裏では静かに陰謀がうごめいていた……みたいな本筋のストーリーも用意されているのが憎い味付けです。おかげで視点人物である暦くんもちゃんと活躍できます。後半になっていくとギャグ成分が薄れて暦くんが主人公っぽくなっていくので、期待してください。ただやっぱり店長は凶悪なままでした。最高です店長。
さて、レビュータイトルにはナルシストの陰陽師と書きました。なぜナルシストなのか? どうしてレビューで伏せているのか? その答えは知りたいかたは、ぜひ作品を読んでみましょう。
万引きをしたことはありますか。
万引きをしちゃおうかな、と思ったことはありますか。
万引きくらい、と思っていませんか。
バレてもせいぜい店の人に怒られるくらいでお金さえ払えば無罪放免だなんて、そんな生温いことを頭の片隅で考えていませんか?
……この物語の舞台である音妙堂書店においてはそんな考えは全く通用しません。もちろん世間でも通用しませんが、この店では通用するとかしないとかそんなレベルでない強烈かつ残酷かつ一生もののトラウマになりかねない厳しいお仕置きが万引き犯を手ぐすね引いて待ち構えております。
書架の向こうに控えているのは見目麗しく正義感の強い平成の陰陽師!
常に冷静に行動しツッコミも担当しながらアルバイト店員たちをまとめあげる敏腕チーフ!
そして最強にして最凶、ねちねちとしたお説教ならきっと多分おそらく世界一かもしれない店長!!
女性スタッフも充実、これ以上ない最高の環境でお客様と万引き犯を待ち受ける音妙堂書店へ行ってみたいと心の底から思います。
万引き犯には制裁を。