手記

葦元狐雪

手記

 2xxx年 9月27日 快晴 AM:5:02


 今日はついに一人で山に登るぞ!もちろん泊まりだ!


 この日のために登山用具も一式買い揃えのだ。


 山は自宅から少し離れたところにした。標高は約1100mで登るには丁度良い山だ。


 きのこや山菜を採って天ぷらにして食べようかなぁ。帰ったら仲間にも食わせてやるか!


 これから少しずつ手記を書いていくことにする。






 2xxx年 9月27日 快晴 AM:5:41


 登山口へ到着!


 電車に揺られること15分...初めて来る駅だが、人は多いな。


 コースは左右に矢印の看板にハイキングコースと、もう一つは上級者コースがと書いてあるがどうするか...


 しかし看板はないが左の奥に登れそうな道があるため、そこを登るとする。私は常識に捕らわれない人間なのだ!






 2xxx年 9月27日 快晴 AM:7:16


 山の中腹くらいまでは来ただろうか。ちょっと休憩しよう。


 お地蔵さんの横で水を飲ませていただきます。乾杯!


 道が思ったよりも険しいからもう息が上がってきた。日頃の運動不足が祟ったかな。




 


 2xxx年 9月27日 快晴 AM:7:30


 ちょっと休憩。


 そろそろこまめに休憩しないと体力がやばい......


しかし道が全然開けてこない。自然は十分感じたから、そろそろ壮大な景色を見たいところだ。







 2xxx年 9月27日 快晴 AM:7:50


 休憩タイム。


 またまたお地蔵さんがいたため、恒例の乾杯をする。


 ついでにその辺にあったきのこを回収した。おそらく食えるだろう(笑)


 まあちゃんと調べたんだけどね......大丈夫大丈夫。






 2xxx年 9月27日 快晴? AM:8:16


 おかしい。


そろそろ山頂へ着いてもおかしくないはずなのに見えてこない......


コースを外れてしまったのだろうか。 

 

 正規のコースではないから時間がかかるのだろう。と、自らに言い聞かせ登ることにする。






 2xxx年 9月27日 雨  AM:8:30


雨が突然降り始めてきたため、偶然見つけた小屋へ避難する。


 私としたことがレインコートを忘れてきたようだ。


 しばらくここで雨宿りしよう。


 ついでに何かないか探してみることにする。






 

 2xxx年 9月27日 雨 AM:8:49


 とんでもないことになった。


 何かがいたのだ。


 登山客ではないことは確かだ。なぜそう言えるのかはわからないがあれは違う。


 とりあえず小屋から出て近くの茂みに隠れている。


 もう走れる体力がない......荷物は捨てた。


 寒い


 どうしよう。





 2xxx年 9月27日 曇り AM:8:49


 やつはどこかへ行った。


 しばらくは大丈夫だ。臭いもしないしきっと大丈夫だ。


 もう戻ることに決めた。


 ここに来るな


 もう引き返そう。来た道を辿ることにする。




 

 2xxx年 9月27日 雨 AM:8:49


 来た。眼前に。


 恐ろしい。


 足が棒のようだ。歩くことさえ辛い。


 下る。ゆっくり下る。





 2xxx年 9月27日 曇り AM:8:49


 お地蔵さんのお供え物の水を発見。喉の渇きを癒す。


 ありがたい。


 飲んだぞ


 少し落ち着いた。下山にはまだかかりそうだ。





 2xxx年 9月27日 雨 AM:8:49


 道が開けた。


 なぜ開けた


 やつが近くにいる気がするため、隠れる。


 刺激臭がする。なぜだか勃起がおさまらない。






 2xxx年 9月27日 曇り AM:8:49


 緩やかな傾斜の道へ辿り着いた。


 足の負担が増す。


 追っ手から逃れるため、進む。







 2xxx年 9月27日 雨 AM:8:50


 いた。


 背後にいる。


 助けて。


 手記は置く。


 獲った


 拾って探してくれ私を。


 さようなら。

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手記 葦元狐雪 @ashimotokoyuki

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