第4話 魔法

お金をしまい終わると、まだもう一度使える「神の気まぐれ」を使うことにした。神も白が「神の気まぐれ」を使うことを待っていた。


「神の気まぐれ」


白は右手を開いて突き出し、そう言った。


しかし、今度もまた何も現れず、代わりに紙が出現した。


『スキル「神の気まぐれ」によって魔法「ファイアーボール」が使えるようになりました』


「お?」


白は魔法という単語に反応していた。魔法には憧れのようなものがあったため、魔法が使えるという期待があった。


「って、どうやれば使えるんだ?」


その問いに対しての答えなのかすぐに紙が出現した。


『神の気まぐれと同じように手を開いて突き出して「ファイアーボール」って言えば、発動するよ』


「やっぱり簡単だな」


白はそう言って早速魔法を使ってみた。


「ファイアーボール!」


白は右手を開いて突き出し、そう叫んだ。



バシャ。



しかし、叫んだ数秒後に聞こえてきたのは白が想像していたものとは違った。


「は?どういうこと?」


魔法を放った先は焼けたり、焦げたりはしてなく、濡れていた。


まあ、こちらでの「ファイアー」が白が知って通り炎という意味ではなく、水という意味なのかもしれない。


そう思っていると紙が出現した。


『いや、ファイアーは君が知っている通り炎という意味だけど』


「じゃあなんで、燃えたりしないで濡れているんだよ!?おかしいだろ?!」


神が言っている通りなら、何故炎ではなく水になった理由がわからなかった。


白の叫びに答えるようにすぐ紙が出現した。


『なんでって「神の悪戯」を使っているからに決まっているだろ?』


「そういえば、そんなクソスキルがあったな!」


白は「神の気まぐれ」の事象に気をとられていて「神の悪戯」のことを忘れていた。


白のクソスキル発言に神が納得いっていないのか紙が出現した。


『クソスキルって言わないでくれるかな?私もいい加減怒るよ?』


「だって、そうだろ?こうやって「ファイアーボール」って使おうとしても正しく発動しないわけだし」


白は会話の途中で「ファイアーボール」を使おうとしてもやはり炎ではなく水に変わってしまった。


白は段々とファイアーボールをどうしても使いたいと思い始めていた。


「ファイアーボール!ファイアーボール、ファイアーボールっ……ファイアーボール!」


白はいろんなパターンでファイアーボールと言ってみたが、その全てで炎ではなく水に変わって魔法が放たれていた。


紙は現れなかったが、神が笑っていること簡単に想像できた。


それを想像してしまうと悔しくなった。


しかし、白はそこでファイアーボールを使える方法を思いつき、早速実行した。


「ウォーターボール!」


白は炎が水になるなら、その逆も可能だと思ったのだ。


しかし、そう思い通りにいくわけもなく、今度は魔法自体が発動しなかった。


「なんで発動しないんだよ?!」


白のその問いにすぐに答えとして紙が出現した。


『なんでって君が使えるのは「ファイアーボール」であって「ウォーターボール」じゃないからね』


「確かにそうだけど!」


白は神の言葉に納得できなかった。


これから先神の手のひらの上で踊らされると思うと気が重くなった。

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俺の運命は神の気分しだい 神谷霊 @sinrei

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