最強を持ち合わせたDクラス
@100728
第1話 プロローグ
「さあ、素体を渡したまえ」
不敵な笑みを浮かべる男は、小柄な少年を抱えた二十代後半に見える女性へと歩を進めていく。
確実に迫る男から距離を取り続けるが壁との距離がなくなり最終的には下がることができなくなる。
完璧に一見追い詰められ逃げるのは困難に思えるが、女性は半径1メートル、高さ3メートルの炎の壁を築く。
築かれた炎の壁はメラメラと火の粉を散らしながら摂氏500度をゆうに越える暑さで男の侵入を拒む。
しかし、目の前にそびえる炎を前にしても不敵な笑みを男は崩すことはなくより一層嫌な笑みを深め右手を軽く横に振るう。ただ、その動作だけで近づくことが困難と思われた炎の壁は初めから何もなかったように霧散した。
「この程度で私を欺けると思っていたのか」
男は追い詰められた場面で通るはずのない能力を使いそれを容易く破られた女を前にして普段は何においても万全をきしていたがこのときはがりはほんの一瞬の油断を許してしまう。そのため、女の能力発動の兆候に気づくのが遅れ男の意図とは関係なく複数放たれた火炎球が男に近づき一斉に爆発する。
連続ではなく一度に爆破が起きたためさすがの男も防御に意識をさかなければならなくなり女への注意が低下する。
「(安心して私が絶対に救いだすから)」
爆発の影響で大きく穴の空いた壁から女は、先程よりも力強く少年の体を抱き抱え飛び降りる。
防御体勢を解き、自身の周りを覆っていた煙幕を再び右に手を振るだけで視界を開く。
男の視界に映ったのは、大きな穴の空いた壁と女のいなくなった部屋の一部だけだった。
「面白い。この私からどこまで逃げ切れるか勝負といこうじゃないか」
誰もいなくなった一室で男は一人呟く。
最強を持ち合わせたDクラス @100728
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。最強を持ち合わせたDクラスの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます