作品タイトルからは全く内容を予想できません。作品紹介文を読んで初めて、食い物屋の話と分かる。でも、作品タイトルとの関係は依然として分かりません。安心してください。本文を読むと、言い当て妙だわ〜と感心します。
実は、作者の「戦犯の孫」を読み始めたら、序盤で「凄いわ。面白い。ちょっとジックリ読もう」と思い直し、息抜きがてら作者の近況ノートを見ました。街コンに参加と知ったので、「息抜きに丁度良い。(文字数的にですよ)」と、この作品を読みました。
殆ど食い物しか登場しないのに、恋愛物語になっている!馬鹿みたいに単調な表現ですが、凄いわ〜。
私、洒落た分野に疎いのですが、ドッグサンドってホットドッグみたいな物ですか?メニューの豊富さから想像するに、フランスパンで挟んだ調理パン?でも、チーズケーキを挟むなんて!愉快な店ですね。
最初は「ボウボウドリ」という鳥のお話かと思って読み始めました。
「ボウボウドリ」の正体が分かったとき、思わず「何これ可愛い!」と微笑んでしまいました。そのときにはもう、おっとさんの巧みな術にかかり、この物語に惹き込まれていたのですね。
物語は、三人称の店主視点で進んでいきます。
登場人物たちは「男の子」「女の子」と書かれ、名前も、外見などの具体的な描写もないのですが、会話だけでそれぞれのキャラクターが想像でき、物語の中でいきいきと動いているのが見えるようでした。
特に、多くを語らないのに読者をしあわせな気分にさせてくれる結末が好きです。
私も、スタバもサブウェイもない田舎に住んでいますが、そんな田舎町の片隅で、こんな甘酸っぱい物語が生まれているのかな、と想像すると、「田舎も悪くないなあ」と思えました。
出てくるメニューがあまりにも美味しそうだったので、思わずお店を検索してしまったのですが、本当にたくさんのメニューがあるんですね!
ドックだけでこんなに!
三重に旅行した際には、ぜひ訪れてみたいと思います。
読み進めていくたびに美味しそうなドッグサンドのメニューにお腹がぐーっと鳴り、女の子と男の子の高虎ドッグ愛をめぐる意地の張り合いが可愛くて胸がキュンキュンしました。
飯テロと胸キュンの二段構え、最高です。読み終えた後、まるで自分が甘酸っぱい青春を経験したような幸せな気分になります。
小説を読んでお腹は膨れませんが、幸福感でお腹が満たされて、思わず「ごちそうさま!」と言いたくなる……何と素敵で優しい作品なのでしょう。
ちなみに、この小説を読んで飯テロ&胸キュンの作品が他に無いかとお探しの方は、同じ作者様の作品『飯テロおったんぺん』をどうぞご覧ください。この作品と同じく、幸せでお腹がいっぱいになります。
おっとさん、とても美味しい作品、ごちそうさまでした!!