Another View2話 ???


「いやぁぁぁぁ!!やめて!!」


…?

目の前の怪物は何をいっているのだろう。


「やめて!やめて!!…!!っっっーーー!!!」


何を言っているかはわからない。もしかしたら、僕を殺そうとしているのかな?でも、そんなことはさせない。目の前の怪物はここで僕が殺す。この手で殺す。

怪物に向かってナイフを突き刺す。長いこと同じ化け物を殺してきたのだ。最初に刺すべきところは体が覚えている。

最初は『足』だ


「ああああああああ!!!!イタイイタイ!!!誰か!!!誰か!!!!!」


足を刺したことにより、怪物の動きが先ほどよりも格段に落ちる。大抵の怪物はこの時点で戦意を失うが、この怪物はどうだろう?


「死にたくない!!『風よ!!我が敵を切り裂け!!』」


僕の腕が切り裂かれた。右腕が音を立てて、落ちる。あぁ…痛いなぁ…痛い。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い…イタクナイ。


「くひっ、くひひひ、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!」


「ひっ…なん、なんで止まらないの!?」


イタクナイイタクナイイタクナイ。

右腕がないだけ。この化け物を殺すことにはなんの支障もない。いや…違うな。この化け物を『救う』ことにはだ。

切り落とされた右腕が握っていたナイフを拾う。そして、そのナイフを右腕に突き刺した。


「な!?」


化け物が驚いているようだ。だが、関係ない。

突き刺した右腕から大量の血が流れ落ちる。大量の血があたりを侵食し、やがて彼女まで到達する。

ここまで来たらあとはつぶやくだけだ。


『喰らえ、我が血よ』


「…え?」


瞬間、地面に広がっていた血は化け物を包み込んだ。

そしてそれは、彼女の穴という穴を犯していく。

突然のことに対処できなかった化け物はなすすべもなく血に包まれていく。苦しそうにもがいているが、問題はない。これは『救済』だ。痛くはないはずだ。むしろ気持ちいいのではないだろうか?


「!?グボァ…」


そして地面の血がすべて化け物に集まったころ。

化け物は。

『人間』になった。化け物は死んだ。


「…」


あたりに血が見当たらなくなったころ、僕の前には真紅のドレスに身を包んだ美しい女性がいた。よかった、成功みたいだ。


「やぁ、はじめまして。ごめんね?痛かったかい?」


「…いいえ」


彼女は言葉少なめに否定する。まだ目覚めたばかりだからだろうかあまりその美しい赤い目に力がこもっていないように見える。


「そう。ならよかった。あ、ごめん。そこの腕とってくれない?」


『人間』になった彼女は僕の命令には逆らわない。当然だ。化け物から人間にしてあげた相手に誰が敵意を向ける?むしろ彼女の心は僕に対する感謝で埋め尽くされているだろう。


「どうぞ」


落ちていた右腕を差し出される。それを受け取り、もともとあった場所にかざす。

1分ほどそのままの状態にしておくだけですぐに元通りになる。


「うん。やっぱり本来あるべき場所にあるというのはいいことだね」


元通りくっついた右腕で彼女を抱く。

そして、そのまま僕の家に帰る。

家には、愛しい家族たちが待っている。今日からまた家族が増える。こんなにうれしいことはない。


「これからも僕は化け物を殺し、人間に変えていこう。この命尽きるまで」










ーーー


「行方不明者 アリア・フィルト 19歳 冒険者【ランクD】

嵐の月火の日以降消息不明。最後に目撃されたのは月の日にギルドの食堂にて。情報求。」

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はい、怒らないからなんでそんなことしたかいってみ? 風華 @Nekoguruma

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