キラキラの極彩色に彩られた晴れの日の中華街ではなく、冷たい雨にしっとりとけぶる中華街の片隅で起きた、ふれあいと別れの物語。主人公の食べるアサリそばのあたたかで美味しそうな描写が、猶更そこで起きた切ない出来事を印象的に浮かび上がらせてくれます。雨の中華街には、太陽の光の下では見えない魅力がある。そしてそこでは、この作品のように心にしみる出来事が起きているかもしれない。そんな気持ちになりました。あたたかく、滋味にあふれ、少し塩味の効いた余韻に浸れる作品です。
中華街のある店を舞台にしたミニドラマ風の短編です。何気ない一瞬の中に昔馴染みの客と店主という二人の人生を浮かび上がらせています。これぞ短編の醍醐味という作品です。また中華街というどこか異世界めいた雰囲気がよく表現されていて、それぞれ違う世界に住む二人が通わせた一瞬の心情が浮かび上がるように現れてきます。ぜひ一読してみてください。
出会いは運命なんだと思う。反面、当たり前のことだとも思う自分もいる。でも…運命だと感じる瞬間は確かにある。偶然の出会い、別れ、それは日常に訪れる奇跡。そんな一コマを切り落とした作品。この瞬間を主人公は、どう感じただろうか…。
横浜中華街は物語になりそうな要素がいっぱいですよね~~いろんな別れがあるけれど、今回はどんなエピソードがあるのかとても楽しみですね。