第2話S201 STiバージョン
念願の免許を手に入れた蘭は、免許センターを出ると、駐車場へと足をはこんだ。
なぜなら、蘭の姉である、昴(すばる)と、試験が終わったら向かえに来るように、約束していたからだ。
「ん―やっぱり外の空気は最高だー!」
蘭は大きく背伸びをした。
「えーと昴にメールっと」
スマホを取り出し、姉である昴に、試験が終わったことを伝える。
すると、まるで今まで見ていたかのような速さで、既読が付いた。
「はっ、はやっ!!昴のやつどんだけ暇なのよ」
蘭は、苦笑いをし、昴の迎えを駐車場で待つことにした。
その間、何もすることがなく、空を見上げて雲を見ていた。
「あ〜あの雲イグニッションコイルの形にそっくりだ〜」
※イグニッションコイルとは、高電圧を作り出す変圧器である。
空を眺めていた、蘭の耳に確かなエキゾースト音が響いた。
ドゥロロロロロッ!!プシュルルルッ!ドゥロロロロロロロロッ!!!
「お、きたきた、この下品なドロドロ音、ウエストゲートの吸い込み音、間違いなく昴のインプだ」
※ウエストゲートとは、 ターボチャージャー付きエンジンの、過給圧を開放するためのバイパスバルブ。
まるで、地響きの様な低い音が鳴り響いた。
昴の愛車インプレッサS201 STiである。
10分と予想していた蘭であったが、予想の半分の5分で、昴がやって来た。
相当飛ばしてきた証拠である。
ドゥロロロロロロロロッ!プシュルルッ!ドゥロンッ!!
インプレッサが、交差点に差し掛かり、駐車場入り口手前でエンジンブレーキで減速、蘭が待つ駐車場へ入ってきた。
ドゥロンッ!ドゥロンッ!ドゥロロロロロッ
二回ほど空吹かしをすると、蘭の姿を見つけたのか、蘭の元へゆっくりと近づいて来る。
青い車体に、金色のホイール、まさにインプレッサである。
「やっほー蘭、おまたせ〜!」
昴が窓から顔をのぞかせ、手をふる。
すると、蘭が不満そうな表情で口を開く。
「呆れた、一体何キロで飛ばして来たわけ?
捕まっても知らないよ?」
蘭がそう言うと、昴は笑ってみせた。
「あれぇ〜、蘭さんおこですか?
おこな感じですか〜?
そんな顔すると、カワイイ顔が台無しだぞ〜?」
昴は茶化してみせる、すると、蘭は呆れて何も言わず車へ乗り込んだ。
「まぁいいや、それより早く、家に帰ろう、今日は、私の愛車になる車の納車日なんだから!」
蘭は、楽しそうに目を輝かせ、そう言った。
「そう言えばそうだったね、お姉ちゃん忘れてた〜」
「ちょっと昴、それはひどいよ、まぁ今日は、何言われても多めに見ますか、そんな事より、早く車出して?ね?」
「あ〜はいはい、今出しますよお姫様」
そう言うと、昴は家へ向けて車を走らせるのであった。
私立ウァーゲン女学院 継続フミ @keizokuhumi
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