第4話 まるで夢の国
気が付くと朝だった。
現実世界に戻った訳もなく、てっきり女神様が出てきて俺にお願いごとをする
とかの夢でも見るかと思ったが、それすらもない。
はぁぁ
この世界に飛ばされた時の記憶も曖昧だ。多分学校からの帰り道で何かあったのだろうけど、トラックに轢かれた…とかは嫌だな。
死んでいたらもう元の世界に戻れないだろうから。
これ絶対ホームシックじゃねーか!
というか俺は今異世界にいるんだぜ?
人間なら、特に日本人なら一生に一度は異世界に行ってみたいと思うだろ?
しかも、まだこちらに来てから1日しか経ってないし、まずは調べられるところから調べるか。
まずは外の調査だ!
まるで
ディ●ニーランド
(ハハッ)
俺が最初に外に出て思った感想はそれだった。
人 人 人
あの夢の国並みの混雑!!
しかも、パッと見ても人間、
「なんだこれ…!」
「驚いたかい?」
リーシャさんがニヤニヤと笑う。
「此処はいくつかの里が集まって一つの街みたいになってるんだよ。詳しく言うとオーガの里、人間の里、獣の里、エルフの里、キメラの里の5つさ。」
「5つ…」
マジで異世界だ…
てっきり種族ごとに離れて暮らしてるのかと思ったら全然違ったわ。
恥ずかしい事に、今までの俺は分かったつもりになっていただけ
だった。
これが現実。
ビバ異世界!とか言ったけど出来ればもうお家に帰りたいです…神様ぁ~
完璧ホームシックの俺の隣でリンファちゃんが心配そうにこちらを見つめていた。
歩いていると行く手に大きな門が見えてきた。あれが人間の里の門らしい。
「たのもー!!」
リンファちゃんが門の前で叫ぶ。
…異世界には時代劇でもあるのか??
門の中から出てきたのは、The冒険者というのがお似合いの、狩人のような服を着て大剣を背負ったガタイのいい男性だった。
「おっ!リンファちゃんじゃねえか!大きくなったなぁ~今日はどうしたんだ?」
「魔法使いのお兄さん連れてきたの!!」
「魔法使い?」
「どうもゲンナイさん!こちらの子はクロガネと言うんだけれども…」
「お前さんは記憶がないんだよな?」
今までの経緯はリーシャさんが説明してくれた。
そして俺達はゲンナイさんに連れられて門の中の役所のような所に来ていた。
「無いというか。名前とかは分かるんですけど…」
ゲンナイさんは腕組みをして座っている。
「一応医術師には見てもらった方がいいな。後は神の信託でも受けてみるか…お前さんの持ち物とかにも心当たりはないし…」
そう言ってゲンナイさんはリーシャさんが持ってきてくれた俺の持ち物を手で示した。
ケータイとかある訳ないか。この世界は明らかに科学よりも魔法だもんな…
ってか俺の制服がスライムのせいで布面積が少ないビキニみたいになってるぅぅぅぅ!!
結構ショック。
「…あの、ここには転送術とかは無いんですかね?」
魔法なら転送術とかあるよね?
「転送って言っても
「はっはい。」
誤魔化すのが難しすぎる。
ここは真実をいうべきなのか?
俺は違う世界から来ましたって??
これは慎重に考えないと俺の身がヤバくなる気がする。
「まぁ、時間が経てば記憶が戻るって事もあるかもしれねえから、ここでしばらく暮らしてみるか!」
えっ?
それって
いせかいぐらし!!
…本当の事を言うかはもうちょっと考えてからでいいよね!ちょっぴりホームシックだけど多分大丈夫!
こうして俺の異世界ぐらしが始まった。
異世界陰陽録 蟠竜 @yamiyonoO
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