短編集のようでいて、散りばめられたエピソードを辿れば二人の恋物語になる。儚げに滲んだ輪郭が独特の情緒を感じさせる、そんな雰囲気のある作品です。
“あの「駅」の話”だけに、彼らの再会、再々会には駅がからむのですが、それと同じかそれ以上に印象的なのが、それぞれのシーンに音楽が寄り添っていることです。
大学生活を謳歌していたとき、彼と初めての夜を過ごしたとき、彼が別れを決めたとき、予期せぬ再会に彼女が戸惑ったとき──。
彼らの思いとシンクロする音楽を想像しながら物語を辿れば、彼らの恋がより鮮やかな色をもって目の前に広がることでしょう。
1話目は あの「駅」の話ですよね?
と思ってしまう、始まり。恐らく あぁなって、こうなって こうなっていると 想像して、読ませて頂きました。あの駅の話が こうも淫靡な香りを纏う話になるとは… すごいです。
2話は 陽野ひまわり 様の 話を読んでから、来れたので 良かったです。なるほど そういう事だったのか…と 納得です。
3話が 私は好きです。私にも こうなってしまう瞬間があるので、とても 感情移入しました。というか そこの心境描写を、表現されている事に 感銘しました。私も こういう深層心理の辺りの事が 文字で書けるようになれればなぁっと、羨ましく思いました。