神の魂は人と交じる

和泉 瑠偉

第1話 神という存在

……?


…いつからか意識を失っていたのだろうか?

目を開けると目の前が真っ暗でなにもない。

上も下も…前と後ろさえも真っ暗…。


「ここは…どこだ」


全然頭が追い付いていかない。

ここはどこでなにがあってこうなっているのかも。

それに今まで自分がなにをしていたのか、全く思い出せない。自分の名前すらも。

何故かは分からない…でも分からない。


「……一体、どうなってるんだ」


そう誰に問いかける訳でもなくそう呟く自分が妙に腹ただしい。

誰も居ないってのに…。


誰か…誰か…


「誰か居ないのか!!」


……肉眼では確認できないほど真っ暗。

人の気配すらもないこんなところに…


人なんて居るわけ…


「……!?」


絶望に瀕しそうになった俺の目の前で1つの光が現れた。

その光は始め小さかったが、その光は近づいてくるにつれどんどん大きくなっていく。


「なんだ…あの光は」


なんなのか気になる……

そう思い立ち上がろうとした俺だが、体が動かない。

足なんて金縛りを受けたかのように固まっている。


なんで……!こんなときに!


意志で動こうにも体が言うことを聞かない。

もうここまでかと思ったそのときだった。


目の前に現れた光が突如として大きくなり、俺の体を覆ったのである。


な、なんだ…!!


「う、うわあああああ!!」


光により視線が遮られ目を閉じ隠しつつ叫び声をあげた。


「……っ?」


光が無くなったことで、目を開ける。


……これって。


目の前に街がある。

だがそれはどうやら普通の街ではないようだ。

俺の目の前で……街が……


「街が……破壊されてる」


目の前にある街は建物が崩壊しており、人々が逃げていく有り様がしっかりとあった。

事態の状況が飲み込めず、俺もあたふたしそうになる。……が。


……体が、動かない!!


そう。先ほど真っ暗なところに居たように、ここでも体が動かない。

でも……ここは現実世界のはず……

なんで体が動かないんだ。


ただ見ることしか出来ず立ち止まってなにも出来ない自分に怒りが立ち込めてきそうになる。


「うわあ!霊機がきたぞ!!」


ここの住人なのだろうか。逃げ惑う人びとの中でまだ若そうな青年が声を張り上げている。


……レイ、キ?


そう頭の中でつぶやいた途端、突然激しい頭痛が俺を襲ったのである。


「く…ううあ……!」







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神の魂は人と交じる 和泉 瑠偉 @darknaoki

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