第7話 未来は僕らの手の中

「ゆか明日部活で朝早いから寝るね!

おやすみ!またねー!」


ゆかちゃんとのラインは1日で終わった。

俺の経験上ラインが1日で終わってしまう子は全く脈がない。

ちくしょー!

こんなにすぐライン終わるならラインなんか聞いてくるなよ!!


いかんいかん、ゆかちゃんに八つ当たりは良くない。

ゆかちゃんのラインを入手できたことだけでお前は幸せ者だろ!

いやまてよ、クラスのやつはなんの苦労もせずにクラスのグループラインからゆかちゃんのラインを入手しているのか。


そしてあの手この手で適当な理由をつけゆかちゃんにライン送っては敗北をしているのか。

ざまぁみやがれ!

いやまてよ?俺もその一人なのか…


世界中の人が自分の思い描いた通りになっていたら世界はめちゃくちゃだろう。


でも一つでいい!

たった一つの願いどうかかなってくれ!

ゆかちゃんと俺は付き合いたいんだ!!


こうして眠れぬ夜を過ごす。


10代の男子ならこんな経験はあるだろう。


翌朝、ゆかちゃんから部活いってくるねー!のラインが入ってないかケータイを確認する。がそんなことはない。

ケータイのロック画面には綺麗な星空が映し出されているだけだ。


ポキポキ


その時、ラインの着信音がした。

まさか?ゆかちゃん?なわけないだろうな。


「はるきー!今日なおとんち泊まりいこーぜー!なおとにはいってあるから!」


しゅうやからだ。

この野郎はいつも変な時にラインを送ってきやがる。

オ○ニーをしようと思った時に何度ラインが来たことやら。

大抵こいつはオ○ニーした後に人にラインを送るのだ。


まぁ予定もないし。今夜はあいつらとばか騒ぎしてゆかちゃんの事は忘れよう。



「お邪魔しまーす!」


なおとの家に着くとしゅうやとなおとはリビングでゲームをやっていた。


「いらっしゃい。はるきくん大きくなったわね!中学校の卒業式以来見てないけど背伸びたんじゃない?」


「いやいや、もう止まってます!気のせいですよ!」


珍しくなおとのお母さんが家にいた。

なおとのお父さんは単身赴任、お母さんは看護師で夜勤が多い。

なおとの家に泊まる時はお母さんが夜勤の日を選んでいたが今日に限ってはお母さんがいるようだ。

これでじゃ大きな声で騒げないし、下ネタも言えないなぁ。

まぁ普通は人の家で騒いだり下ネタは言えないか。


とりあえず俺たちは二階のなおとの部屋に行きゲームをした。

今日もゲームをして無駄話して終わりか。

夏休みだしなにか青春をしたい。

だけどどうすれば?


するとなおとのお母さんが部屋に入って来た。


「最近この辺に温泉ができたんだけどあんた達いく?お母さんちょっとその辺に用事あるから連れてってあげる」


こんな些細なイベントでも十分心が踊る。

友達と入る温泉はなぜか楽しい。

裸の付き合いとはよくいったものだ。

湯に浸かりじっくりと語り合う。

最高じゃないか!


行き着いたのはそこそこ大きな温泉だ。

だが田舎の温泉であり営業時間も短い。9時には温泉が入れなくなるというなんとも不便なシステム。

ついたのは8時過ぎ。

まぁゆっくりしても時間が余るくらいだろ。


温泉は湯が熱く最高だった。

露天風呂もあり、誰かが言わなくても露天風呂には自然に入って見たくなるのが男だ。


「はぁ〜〜いい湯だぁ、ほんとなおとの母ちゃんに感謝だな。」


しゅうやは頭にタオルをのせなんとも気持ちよさそうな顔をしている、ら


「まぁ、おれんち家は広いのに風呂狭いからね」


「それにしてもこの温泉出来たばかりなのに人少なくね?やっぱりこの辺りなんもないからかな?」


しゅうやが言った。俺もそう思っていたところである。人が少なすぎる。というか既に俺たち三人以外だれもお風呂にいない。

露天風呂も貸切だ。

泳いでも騒いでも怒られない最高だ!


「実はさ、女湯に美人な女の人が入ってくのおれさっきみたんだよ。この調子だと女湯もガラガラでその美人な人しかいないんじゃね?」


しゅうやの発言に三人が頭に浮かんだものは一つしかなかった。


の ぞ き !


男なら一度は女湯をのぞいて見たいと思うだろ。

今俺たちは決断が迫られていた。

バレたら退学、そして社会的制裁、それどころではなく一生変態野郎のレッテルが貼られる。

だが男には譲れないものがある!なんだそれはって感じだが。


「やるぞ!!!」


三人の意見は一致した。


男湯と女湯の露天風呂は岩の壁にはばまれていた。

ゴツゴツした岩が高くそびえる。

だが登れる。登ろうと思えば登れるのだ。

だが三人同時に登るのはまずい。

万が一男湯に誰か入って来たらいくら男同士といえど赤の他人には理解されないことだ。

一人見張り役をつけなくてはいけない。

公正なじゃんけんのもとそれはきめられた。

負けたのはなおと。

なおとは脱衣所でみはり。

そしておれとしゅうやが観測者。


もうすでにいないかもしれない。

急ごう!


なおとはみはりに行きおれとしゅうやは登った。

だがアクシデントが起きた。しゅうやが湯に浸かり過ぎたのか鼻血を出した。

湯に浸かりすぎ&興奮のしすぎだろ。

ここでしゅうやは脱落。

残るはおれだけ。

男達の夢をのせ岩の壁を登る。


やっとの思いで頂上に到達した。

案の定女湯もガラガラであった。

そして、女湯の露天風呂に人影が。

露天風呂からの湯気でよく見えない。

岩の壁にずっと登ってるわけにもいかない。

早く晴れろ湯気!


その時湯気がはれはっきりとみえた。


その胸は大きく垂れ下がりへそにまで及ぶ。

腹の肉はシワシワで艶がない。

黒い毛が心なしか貧相に見える。


そう、おれが目にしたのは熟女だった。

いや正確にはおばあちゃんだろう。

推定70代ほどのおばあちゃんが全裸でこちら向きに立っていた。


おれは声を失った。

そして驚きのあまりそのまま落ちてしまった。


骨折。


着地に失敗したおれは骨折した。

しゅうやは鼻血をだし、おれは骨折。

これが覗きをしたものへの天罰なのか?

だとしてももう罰は最初に受けたじゃないか!


夏休み後半は動かずにベットの上で過ごすことになった。

幸いヒビ程度でそこまで重症ではなかった。

ちなみにあの日みたことは二人には言っていない。

老婆の裸をみて骨折だなんて死んでも言えるものか。


高校一年生の夏休みが終わってしまった。

悪いことはよくないよくない。





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