第6話交換ノートの秘密★

 国語の授業が終わり、教室が一気に騒がしくなる。


「ネムちゃん、見てー」


そう声をかけながらナミがわたしにお絵かき交換ノートを見せる。と、逆隣のイチカはクスクス笑っていた。


「ネムちゃんの好きなキャラ描いたのー!」


「えーまじでー? 見せて見せて」


わずかに嫌な予感を感じつつ、――いや、自分の好きなキャラを描かれること自体に引っかかる部分もあったかもしれないが―― ナミがノートを渡すのを待った。ナミはノートを持ったまま、その場でページを開いてわたしに見せた。


「・・・・・・・・・・・・」


「あはは、ネムちゃんってハゲが好きなーん?」

「くくく・・・・・・あははは」


イチカも、この時を待っていたとばかりに声を上げて笑い出した。

ノートにはわたしの好きキャラの髪の毛を極端に少なくしたイラストがいっぱい描かれていた。言うにも値しないようなセリフも描き込まれていた。


「モヒカンだから!こんなに髪少なくないし!」


精一杯の冷静さを保ちながら、でも一応の怒りを見せて二人に反論する。このときわたしは怒りというよりも、恥ずかしさを大きく感じていたと思う。キャラを馬鹿にされて、それを好きと言う自分が恥ずかしいという感覚。その感覚が好きなものへの裏切りのように感じられて、さらに苦しくなった。


 許せないまでもイチカはともかく、ナミはアニメなど知らないくせに。知りもしないくせに一緒になって馬鹿にしてくる卑怯さがさらに許せなかった。


 休み時間いっぱいわたしは二人のおもちゃにされた。普通の表情を作る限界に達したわたしは、怒るとも泣くともいえない顔で席を立った。チャイムが鳴っていた。トイレという名目を心に準備してわたしは教室を出た――。


次の授業の与田が教室のドアまで来ていた。彼女はわたしを見つけ、


「ほら!もう授業始まる!座れ!」


と乾いた言葉を投げかけた。イチカとナミはあいかわらずケラケラ笑っていた。


教室を出ようとするなんとも言えない表情のわたし。笑う二人。そんな様子を見れば何事かがあったことなど予想できそうなものだろう。しかも、先生である。担任である。しかし、こちらからこの与田に何かを言いつける、そんな選択肢はわずかばかりもなかった。後から冷静に考えてもとくに期待もできないし。



どいつもこいつもムカつくムカつく・・・・・・。



何人かの女子がわたしを見ていることに気づいた。わたし、というかわたしたちの様子を、だろう。恥ずかしさに顔を伏せて机に向かう。授業中は何事もなかったかのようにナミがわたしのノートをのぞきこんできた。


こいつらは機械か何かなのか?


ほんとうに人間だろうか?


感情や考えがある同じ人間として扱うには、わたしの理解の範囲では無理があった。

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JCの日常をのぞいてみたい?。゚( ゚இωஇ゚)゚。 @toniyomu

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