田宮 修 ①
静岡県伊豆半島にある、人口7000人ほどの小さな町で田宮修は育った。
春には季節の花が、夏には海が、秋と冬には温泉が大勢の観光客を出迎える自然あふれる場所だった。町の人たちものどかで優しい、とてものどかな町だ。
そんな町で、田宮修の祖父にあたる忠雄(ただお)と祖母のよし子はカーネーションという花の農家だった。
母の日に贈られることで知られるカーネーションは、バラ・菊とともに3大切り花(収穫するときに茎を切って収穫する花のこと。花束等に用いられる。)に数えられ、伊豆半島はカーネーションの大産地であった。
まわりにはたくさんの自然、我が家は花農家、そんな環境に育った田宮が農業を仕事にしたいと考えるのはなんら不思議なことではなかった。
高校3年生の夏、最後の進路希望で田宮は「農業大学校」を選択した。
農業大学校とは、簡単に言うと「農業を専門的に学ぶ専門学校・短期大学」のような2年制の学校である。概ね各県に設置されており、もちろん田宮のいる静岡県にも存在した。
農業を学びたいという田宮の思いを踏んで、進路希望の先生が紹介してくれたのだ。
高校までの田宮のまわりには、農業を志す友達はおらず、彼はそれを少し寂しく感じていた。しかし、農業大学校となれば、同じ志をもつ同年代の若者が大勢いる、田宮は多少の不安もあったが、大学校入学に向けて、心が躍っていた。
月収13万円男、俺の頼りは年末ジャンボ。 花咲 まこと @ezado2
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