愛を伝えるラブレター。
人はどんなところに惹かれて、誰かをすきになるのだろう。
理由なんてあるようでないような。この心をどう伝えればいい。

最初のきっかけをぎゅっと掴んでしまったら
相手がどんな人だろうと、もう惚れている。
結局、何をしても、その人を愛してしまってる。
話したらちょっとカワサレテ、そんなとこまでだいすきで。

「一言惚れ」に、ドキッとしました。
あ、これだ！って思ったの。突き刺さるって鋭いけれど
でも、あ、本当だって。
これでトドメ刺されたことに思い当たったのです。

惚れた相手には何をされても完敗で、自分がイヤになるくらい。
一度すきになると、ずっとずっとすきで困るのに、やめられないね。
誰がこんなラブレターをもらえるのでしょう。

直情的、情熱的と書いてしまうと、ニュアンスがきつすぎる。
強い、けれども柔らかい言葉で綴られたメッセージは優しくて。

知的な遊び心とぬくもりのある文章・文体は、著者の持ち味だ。
それがラブレターの体裁を取ると、なんというか……ずるい。

誰にでも書けるスタイルに見えるが、読み心地のよい仕上がりは、
全体のリズムが均衡するよう配慮が為されているからだと思う。

とりあえず。
他人がいるところで読まないことをおすすめします（赤面する！）。

甘くて、まっすぐで、純粋で。

読んでいて顔が赤くなってしまう。

なるほど。これは「あなた」に向けたラブソングだ。

ここまで惚れられる相手に出会えた語り手は「惚れた方の勝ち」なのでしょうね。
この作品には顔が真っ赤になるような幸せが詰まっています。

もしわたしが語り手と想い人の両方と知り合いだったならば、一緒にいる間はずうっとニコニコするでしょう。
うっかり「この間さぁ」と言いかけて、「いや、なんでもない」と口をつぐんでしまうでしょう。
そんなわたしを見て、ご両人は「変なの」と笑ってくれるでしょう。

どこかに存在するかもしれない二人に祝福あれ。

とても、とても素敵なラブレターです。

恋の過程を一つ一つ踏みながら、五感の一つ一つが「あなた」への想いで満たされていく。

この美しいラブレターをもらえた人の心には、いつまでも色褪せることなく残ることでしょう。

手紙形式、モノローグ形式の短いお話ですが、視覚だけでなく、聴覚、嗅覚、味覚、触覚すべてにおいて、語り手が「あなた」を好きであると表現する。
歌詞のような甘い言葉ひとつひとつが小粋というか、どこか気障（良い意味で）な感じで、それが好きな人に宛てた手紙だから許される、巧い文章だなと、僭越ながら思いました。