第3話

 震災から半年。私の学生生活には平穏が訪れていた。

 大分の街には活気が戻った。むしろ以前よりも街は活気に満ちている。

 それでも、ふとした瞬間に私の住む町は被災したのだと実感する。

 築二十年を超えた私の借りているアパートの外壁は剥がれ落ち、部屋の中のタイルには亀裂が走っている。

 タイルの亀裂を見るたびにあの日のこと鮮明に思い起こされた。

 鳴り止まぬ緊急地震速報に耳を塞ぎ、布団を頭に被り外へと飛び出した夜。

 未だにあのような思いをしている人は存在して、苦しんでいる。

 そんな人たちを支援したいと思い、私は大学のゼミを選びました。

 

 私は今日もゼミの活動で大分市内から足を伸ばして別府へと来ていた。

 活動といえば被災した地域の瓦礫の撤去作業である。

 一向に進まない作業にため息も深くなる。

 そんな中、教授が私に声をかける。

 「大分は震災に強いから。負けられないね」と白い歯を覗かせる。

 私は、力強く「ハイ!」と返事を返した。

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OITA 小暮悠斗 @romance

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