第2話

 四月十四日深夜。私は突如として鳴り出した緊急地震速報によって起こされた。

 何事かとスマホを手元に手繰り寄せると同時に視界が大きく揺れた。

 慌てて布団を頭から被る。

 しばらくすると揺れは収まり一息吐く。

 しかし、再び大きな揺れが襲う。

 十分前後の間隔で訪れる揺れに眠れぬ夜を過ごして朝を迎えた。

 

 テレビを点けるどこの局でも地震についての報道がなされていた。

 大学も一日だけ学内の点検を行うために休校となったがその翌日には平常通りに講義が行われていた。

 大分も被災地なのだが、学内は何事もなかったかのように活気に溢れていた。

 被災して仮設住宅に移った人、身動きの取れない人もいるというのにこんなに気楽でいいのかと疑問に思う。いまだに大分も余震が続いている。そんな中、私の心は揺れていた。私には何もできないのか、と。

 

 熊本を震源とする地震が発生してから早三日。大分駅前では地元の学生、市民団体が駅前の広場で被災地募金を求めて声を張り上げていた。

 その募金活動の集団の中に私に「大分は災害に強い」と言った教授の姿があった。他にも学内で見たことのある顔がちらほら見受けられた。

 そこで私は一つの結論に達した。

 災害に強いのは土地ではなく、そこに住む人たちなのだと。

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