街コン優秀賞おめでとうございます。しんみりさせる良い作品ですね。何か書くと直ぐにネタバレになりそうなので控えます。これは一切のレビューを事前に読まずに本編を読むべき作品です。(閲覧者へ)同じく震災を扱った作品に、黒松きりんさんの「杜のゆりかご」が有ります。別の作者と読み比べて、個性の違いを味わうのも一興ですよ。
短い話であるから、あまり先入観を持たずに読んでほしい。以下は感想みたいなものなので無視してもらってかまわない。読み終わってまず、切ないと思った。きっとほかに適切な言葉があるのだろうけれど、どうしても思いつかなかった。言葉もそこから見える世界も静かで美しい。語り手の無邪気なところも、読み手としては苦しいような悲しみを覚えた。読んでみてよかった、と思える作品。
海を見ながら、兄妹は語り合う。そこに広がる美しい情景、観光客の賑わいの記憶、この町に住む優しい人々、そして、大地が揺れたあの日のこと。すっと引き込まれて、胸が痛くなる。私はその日、揺れる場所にはいなかったけれど、きちんと知りたいと思います。綺麗事ばかりではなく、地域に残る痛みを描いて、それなのにとても綺麗な作品。すごく好きです。
初めはすっかり騙されたまま読み進めました。僕たちが彼らと気づいてから、またさらにもう1つ彼らの今の姿に気づいてから急になんと言ったらいいのかわからない胸がキュとする切なさや悲しさが染み渡りました。冒頭のあの美しい松島の島々を歩く彼らの小さい姿が頭に浮かんできます。また水族館、同じ宮城出身なので懐かしく感じます。カモメの声を思い出しながら読ませていただきました。