第6話 

初めての依頼に、さすがの沢見も真剣な目つきで依頼文を読んでいた。が……


「なあんだ 殺人事件じゃないじゃん。やーめた!」


…は?

「いやいやいや、初めての依頼ですよ?やめるって、え」


「僕は殺人事件以外行かない主義なのさ」


「でも、嫌でもいまお金ないし…」


「行かないと決めたら行かないが好し。コーヒーでも飲みながら次の依頼を待とう!」


そう言ってのんびりとコーヒーを入れる沢見を見た途端、何かがぷつんと切れた。


「あのなあ!!」


いきなりあげた大声に、沢見は驚いてコーヒーカップを落とした。

パリン!!というカップが割れた音がした。


「なんなんだよ沢見!!何がしたいんだよ!!」


「…え」


「私を弟子にするとか言ってさ、名探偵だとか言ってさあ…いったい私をどうしてくれるんだよ!! 人を勝手に期待させて…ボロボロだった私が、救われたって…前よりもいい生活が送れると思ってたのに…!………依頼は一人で行きます。そしてそのお金でまた一人暮らしします。」


「…え ちょ…っと待って」


慌てる沢見。


「今更後悔しても遅いですよ。沢見さんとはこれっきりです。さようなら」









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役に立たない名探偵 ミルキー @milky-writeread

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