第5話依頼

「仕事がないなあ……」

うららかな日差しの中、沢見はそう呟いて、宙を仰いだ。

……やっと自覚してきたか…

「なんでだと思う?」

「さあ……何で仕事が来ないんでしょうねえ」

「ちゃんとにホームページがあるっていうのに」

カチッと依頼ボックスをクリックするも、届いているメールは未だゼロ件。

ところで、あのダラダラ沢見がなぜもこんなに改心したのかというと……

率直にお伝えしよう。


お金がなくなりました。


だから今はコンビニ弁当&牛丼屋生活。

私が今まで必死にためていたお金を湯水のように使いやがったのだ。

まったく、あと何日生きられるものか……


「仕事こないかなあ」

「なんでかって聞かれるとやっぱり…実績がないからじゃないですか?」

「実績?」

「○○事件解決!とか、△△事件に協力しましたとか…」

「ふうん……」

沢見はカチカチとパソコンを操作してなにかをうちこんだ。

「えっ…ちょっ…沢見さん何してるんですか!?」

見ると、○○事件解決!!と、ホームページにうちこまれている。

「はあ…いい加減仕事来ないかなあ」

「その前に偽の実績のせるのやめましょう。そんなことやってないでしょう?」

「もう一時だよご飯買ってきてよ」

「そんなの自分で買ってきてくださいよ。ていうかさっきの偽の実績消してください」

「ご飯を出すのは助手の役目だろう?」

「働かない名探偵に助手なんていません」

「じゃあ三回勝負のじゃんけんで負けた方がご飯を買ってくる、いいね?」

じゃーんけーん…

…三連敗……

自分の運の無さを呪う。

そういえばこの前じゃんけんしたときも三連敗で負けたっけ。

………もしかしたら勝ったことないかもしれない。

動体視力が良いのか?私が出そうとしているのがわかってるのか?

……まあいいや。

「じゃあ買ってきますね。何がいいですか?」

「じゃあサンドイッチで」

「はいはい」

その時だった。

ピロリン♪

その音に二人とも硬直する。

「え…今の音、携帯電話ですか?」

わずかな静寂の後、口を開いたのは私だった。

「携帯電話は持っていないよ」

沢見も固待ったまま答えた。

「じゃあ固定電話の音ですか?」

「どう考えても今の音はメールが届いた時の音でしょ。うちの固定電話はメリーさんの羊だよ」

じゃあ…

「たぶんパソコンだよ」

「依頼の!?」

「いやまだ依頼と決まったわけでは……」

私は急いでパソコンのもとへ駆け寄った。

カチカチと、手慣れた手つきでサイトをひらく。

そして……

依頼ボックスには、一通のメールが来ていた。

中身を見て、にんまりと笑う。

「やりましたよ沢見さん!依頼ゲットです!」




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