第10話「愛のない人生なんて」

 人生は闇だ。


 アリシアを失って僕はそのことを魂の核まで嫌というほど思い知らされた。


 王都の聖堂教会で正式に式を挙げていなかったので、僕たちの仲は正式には婚約者同士であったのだが、世間はそうは見ちゃくれないし、そもそも僕自身がそんなことを認められなかった。


 彼女を失ってから半年ほど経過していた。その間、なにかをやったという記憶もないし、あれからどこにも進めないままでいる。


 ひきこもりまではしないにせよ、いいや、正確にいうとひきこもって現実を拒絶するほどの気迫も根気もないのだ。


 僕は、ただ実家の屋敷でものを食って息を吐き、ただクソを製造する、文字通りの穀潰しにジョブチェンジしていた。


 両親であるイングウェイやビルギット、メイドのノエルはおろか、あの鉄面皮かと思われた祖父のメルキオールまで政務の時間をさいてまで様子を見に来てくれていたが、なにを話したか覚えていないし、生きたまま死んでいるとはこういったことをいうのか思うほど、この世にいるのが苦痛だった。


 庭のベンチに座ったまま、青空の雲を眺めていると、在りし日のアリシアとかわした言葉を反芻して日がな過ごしている。


 文字通りゴミだ。


 かつて、世間のリア充たちが恋だなんだと騒いでいるのを斜にかまえてせせら笑っていたが、今ならその気持ちが痛いほどわかった。


 頭のなかがからっぽだ。

 身体のなかががらんどうだ。


 あれから新居のベッドでは一度たりとも寝ていない。


 以前のように、ホコリ臭い工房の床にごろりと寝転んで意識があるだけ天井を眺め、それから気を失うようにして眠るのがデフォになった。


 ひきこもっていたときは、まだ魔術を研究するという能動的な行動を起こしていたが、あれから一ページだってひも解く気にはなれない。


 アリシアといっしょに日干しするため、本を並べたことを思い出すからだ。


「ねえ、ナイトちゃん。少しいいかしら」


「まあ、別に。忙しいわけでもないし」


 僕はベンチにこしかけたまま曖昧に答えた。


 ビルギットは自分から話しかけたくせに、どこか困ったように長い金色の髪の毛先を指先でくるくると弄んでいる。


 妙だな。いつもなら僕の様子などおかまいなしに、立て続けに自分のいいたいことを吐き出しているのに。不安な表情が顔に出たのか、ビルギットは怯えたように口をもぐもぐさせた。


「あのね、アリシアちゃんのことなんだけど……」


「アリシアッ。なにっ!」


 その名を聞いただけで反射的にベンチから身体を起こしてしまった。


 ビルギットは驚いた顔つきで、二、三歩後退ると、泣きそうな顔になる。


 仕方ない。なにせこの数ヶ月、家人は気を使ってか彼女の名前すら僕の前では口に出さないよう努めているのがありありだったからだ。


 覚悟を決めたのか、ビルギットはすうと息を吸い込むと、胸に手を当てていった。


「アリシアちゃん。次のお嫁入りが決まったらしいの。相手はトラウゴット公爵ですって」


 僕は雷に打たれたように意識をほぼ現実から乖離させて、そのあとの話をよく覚えていられたのは奇跡だった。


 ビルギットの話はこうだった。アリシアは、僕が村を去ったのち、どこから情報を聞きつけてきたのか、トラウゴット公爵の執拗なアプローチに耐えきれず、実家がその話を受けてしまったのだ。


 気持ちはわからないでもない。半ば飼い犬に噛まれた形で孫の婚約を破棄された祖父メルキオールの怒りは凄まじかった。


 祖父は王宮で名のある魔道士だ。面子をこうまで潰されて黙っているわけにもいかないだろうし、また、計らずとも領主に逆らった形となったアリシアの実家であるコロワ家は村のまとめ役をいつ下ろされてもおかしくない逆風のなかにあったのだ。


 結果、庇護者として他領の人間とはいえメルキオールと並ぶ権力を持つトラウゴット公爵に娘を望まれれば、家単位を見てうなずくほか道はない。


 しかしよりによってトラウゴット公爵は今年で六十八になるっていう話じゃないか!


 おまけにアリシアは正妃ではなく多数いる妾のひとりに過ぎず、老齢の公爵が数年後にぽっくりいこうものなら残りの長い人生を隔離された塔に押し込められて過ごさなくてはならない。


 いや、冗談ではなくこの世界では亡夫を弔うと称して妾をそういった場所に叩き込むことが公然と行われているのだ。


 想像を絶する事態だ。僕はビルギットの話を聞き終わったあと、ひとり工房に戻って冷たい床にジッと座り天井にある吹き抜けのガラス窓からジッと夜空を見上げた。


 なんというか、身体がバラバラになりそうな喪失感だった。


 クライドのことをアリシアの口から聞いたときよりもはるかに衝撃は大きかった。


「なんでだよっ。なんでだよっ。なんで、こうなっちまうんだっ……!」


 世界がゆっくりと傾いていく。涙は出なかった。うちひしがれている暇はあるのだろうか。


 なんで僕はあのときそんなこと関係ないとアリシアにいってやれなかったんだ。


 少しでも自分に勇気があれば運命は変わっていただろうに。


 この身体に生まれ変わったとき、人生をやり直せると思っていた。


 けどそれは、甘い幻想に過ぎなくて。


 過去と比べられるたびに、全身がぐずぐずと崩れていく痛みを勝手に感じ取り、逃げ出してしまったんだ。


 アリシアとのことだってそうだ。彼女の過去であるクライドの幻想を頭のなかから追いやれなくて、勝手に暴走してみんなに迷惑をかけて、結局彼女をのっぴきならない状況にまで追いつめてあんな決断をさせてしまった。


 懺悔すれば救われるのか。

 けど、いったいなんの神に詫びればいいのだ!


 僕は神など芯から信じていないのに。


「坊ちゃま」


 開け放たれていた扉から小さな声が弱々しげにかけられた。ノエルだ。


「坊ちゃま!」


 彼女は僕を見つけるなり小ウサギのようにたーっと駆け寄って、跪いている惨めったらしい背中にぴたりとくっついてきた。彼女は焼き立てのパンケーキのような甘い匂いがした。


 憐れまれているのか。そう思った途端、恥ずかしさと怒りの区別がつかない感情が腹の底から湧き上がって、凶暴な気分が爆発した。腕を思いきりぶおんと振った。


 笑っているのか。アリシアを横からかっさらわれたこの僕を。


「――うぅ、うるさいッ。おまえになにがわかるっていうんだっ!」


 きゃ、と跳ね飛ばされて声を上げたノエルが発した悲鳴を聞いて頭から水をぶっかけられた気分になった。


 彼女はひとことも喋っていない。


 それに、むちゃくちゃないらだちをぶつけてなにがどうなるっていうんだ。


 気分が凍りついて泣きそうになる。自分のことが心底、嫌になった。


「あ、ご――ごめっ」


「いいのですよ、坊ちゃま。お腹立ちならすべてノエルにぶつけてくださいまし」


 暗がりのなか、ノエルはおだやかな声で笑って机の上のランプの明かりを大きくした。


「ぼ、僕は。本当にダメなやつで」


「坊ちゃま。本当はアリシアさまを諦めきれないのですね。ノエルだけには、嘘をつかないでくださいませ」


「そ、そうだよっ。でも、もうアリシアは、ここにはいない」


「ノエルが思うにですね、ナイトさまはひとつだけほかの方より足りないものがあるのだと思うのです」


 ノエルはエプロンのホコリをぱぱっと払うと、床に両膝を突いている僕の顔を胸に抱きかかえて、馬鹿みたいに長い髪を丁寧に梳いてくれた。


「ご自分を信じてあげてください。誰でもなく、自分自身の力を。そうすれば、きっと望むものはなにもかも掴むことができるはずです。だって、あなたさまは、誇り高き公爵家のナイト・M・ルフェなんですから」


 ノエルの気持ちはわかっていたはずなのに。


 年下の子にここまでいわせるなんて――。


 ここで泣くのは許されない。いかようにもそれだけは。


 奥歯をガチガチに噛んで決壊しそうになる涙腺を死守した。


 ノエルがそっと手を放して僕を解放する。立ち上がって彼女を見下ろすと、あまりにも小さく儚げな彼女の身体は、光を纏って輝く慈母のように思えた。


「まだ、間に合うかな」


「間に合わせるんです。坊ちゃまはそれがおできになれる男です。なんと申しましても、このわたしがお慕い申し上げているお方なのですから。それくらいは、へっちゃらへいです」


「は、ははっ」


 なんだか、アリシアを失って半年間、一度も笑っていなかった気がする。


 僕とノエルはお互いに顔を見合わせて、くすくすと笑い合った。


「あとひとつ。あの、ひとつだけお願いを聞いていただいてもよろしいでしょうか」


「な。なにかな。この際だ。なんでも任せてよ」


「坊ちゃまは背がお高うございますから、少し、いえ。かなり、かがんでいただけると助かります」


「ん、こうかな」


 身体をくの字に折り曲げると、ノエルは顔を寄せて素早く僕の唇を奪った。


 頬をりんごのように赤くして笑う。酷くいとおしく感じられた。


「坊ちゃま。ガッツを見せてください。女の子が望んでいるのは、いつだって殿方の熱くもえたぎった、ハートですから」


 ノエルは猫の目のようにいたずらっぽく瞳を輝かせると、手のひらをグーにして胸の部分をたたんと叩いた。


「ん。任せてくれ」






 忠実なしもべから得た情報によって、そのときまで猶予がないことがわかった。


 またもや深夜の大脱走だ。僕は手早く身支度を整えると、鎮まり返った屋敷をひとりあとにするため廊下を走った。


 ここは寝室が百近くもあるとにかく広大な場所だ。昼間の労働に疲れ切った使用人たちは夢も見ずに眠っているだろう。


 これから自分が行うことを思えば、身がすくみもする。


 たぶん、家のことを考えれば止めてしまうのが正しいのだろうか、半ば理性を失ってしまわなければこのような暴挙に出ることは不可能だ。


「こんな時間にどこに行くつもりだい、ナイトくん」


 玄関のホールで月明かりに身を晒しながら待ちかまえていた男に呼び止められた。


 イングゥエイだ。彼は、いつもと変わらぬ表情で行く手を阻むように佇立している。


 近づいて彼の顔を眺めると、目蓋の下の涙袋はやや膨らんでシワがくっきりとわかった。


 答えることはしなかった。無言のまま彼の脇を通ろうと思ったが、気配を感じた彼の目に悲しみが宿ったのを感じ、金縛りにあったように動けなくなってしまった。


 ダメだ。やっぱり、これだけはいっておかないと。


「生まれ変わりって、信じたことあるかな」


「生まれ、変わり……?」


 イングウェイはしっぽを掴まれた猫みたいに口髭を揺らして目を丸くした。


「僕はさ。なんというか、あの事故からずっと屑みたいな生き方をしていた。でも、半年前のあの日、扉を無理やりぶっ壊されて……クソみたいだと思い込んでいた世界に引きずり出されて、悲しいこととかたくさんあったけど……まだまだ人生を諦めきれていないっていうか、チャレンジしてみたいことができたんだよね。だから、今からそれを取り戻しに行こうと思ってる途中なんだ」


「ん、んんん」


 イングウェイは太い腕を組んで片眉を上げると難しそうな顔で考え込んでしまった。


 まあ、そうだよな。


 いきなりなにわけのわからんこといっているんだろう。


 自分でもなにがいいたいのか理解できていない。


「ちょっと出かけてくる。きっといろいろ迷惑かけるけど、それは帰ってきてから償うことにするよ。だから、今だけは黙って見逃がしてくれないかな。父上」


 さすがに今夜こそは怒るかなと思ったが、イングウェイはやさしい目をしてジッと僕の顔を見つめていた。


「ん。まあ、なんでもいいさ。ぼくはずっとナイトくんのことを信じてるから、思い切ってなんでも好きなようにやってみなさい。そのほうが死んだように毎日を過ごすよりずっといい。ごめんなさいは、君とアリシアが戻ってきたらママとゆっくり聞くことにするよ」


 ――なにもかもわかっていたんだ。


 僕は恥ずかしくなって、デカい身体を縮込めると、そっぽを向いてイングゥエイの腰に差した剣を指差した。


「それ、ちょっと貸してくんない」


 イングゥエイはやさしさを湛えた瞳ですらりと家伝の長剣を鞘から抜いた。


 はじめて握った剣はずっしりと重く、磨き抜かれた刃は自分の顔が映るほど冴え冴えとした光を放っている。


 腰まで伸びた髪に手をやると刃を当てる。


 僕はぽかんとした顔のまま固まったイングゥエイに向かってこれでもかとばかりに微笑んで見せると、刃をぐいと勢いよく水平に引き抜いた。





「怖がることはない。もそっとこちらに寄りなさい」


 私は自分の膝の上に乗せられたトラウゴット公爵の筋張った腕を無感動に見つめていた。


 公爵は今年で六十八になると聞いた。実際、馬車のなかでふたりきりになると嫌悪感よりも憐憫に似た感情のほうが強く立ち昇ってしまう。


 はじめて会ったときから嫌らしい下卑た目線が心底鼻につく老人だった。


 ジロジロと頭からつまさきまでを舐めるように見ながら、垂れ下がった頬をゆるませしわがれた喉を震わせるたびに、絶望が身を浸していく。


 これは、私が彼を傷つけた罪なのだ。


 どうしてはじめてふたりきりになったとき、あんな茶番染みたことをしてしまったのか。


 正直なところ、私は見も知らぬ男といっしょになることに我を失っていた。


 たいして心も惹かれていないクライドという男の名前を出し、自分の境遇を憐れんでヒステリックに泣き叫び、もったいぶってベッドに豚の血と称したワインまで撒いて見せた。


 彼はいまごろなにをやっているのだろう。

 ご飯はちゃんと食べていてくれてるだろうか?


 きちんと毎朝同じ時間に起きて、歯を毎日磨いているだろうか?


 体調は崩していないだろうか?


 寝起きで寝癖のついたまま歩き回ったりしていないだろうか?


 私が公爵の圧力に負けて嫁いだことをもう聞いただろうか?


 今頃は私のことを少しでも思い出して嘆いていてくれているだろうか?


 それとももう別に好きな人ができて、私のことなど思い出しもしていないだろうか?


「アリシア、アリシア。わたしは、わたしは、もうっ!」


「公爵、おやめくださいっ。ここは、馬車のなかでございますよっ」


 私の思いを断ち切るように公爵が襲いかかってきた。


 今は、実家を出て公爵の領地に向かう途中だ。


 迎えの馬車の周囲には警護の騎士が多数ついている。


 このなかで行われていることがわからないでもないのに声ひとつかからないのは、それが私に求められているすべてだということがハッキリしていて、逆に諦めもついた。


「おおっ。アリシアよ。おまえの肌、この匂いっ。今日からすべてわたしのものだぞっ!」


 年の割には力強い腕で無残にも引き裂かれてゆく花嫁衣裳。


 彼のために着るはずだったそれが目の前の男の手で穢されていくのが酷く悲しかった。


 露わになった胸がぎゅっと握り潰される。


 獣のような荒い呼吸が耳元でせわしなく吐き出され、太いごつごつした指先がお腹を撫でながら下に動く半ばで耐えきれなくなり唇をぎゅっと噛んだ。


 ――そのときだった。


「敵襲、敵襲――!」


「な、なんなんだいったいっ」


 警護の騎士がラッパを吹き鳴らし、全体に注意を呼びかけている。


 私の上にのしかかっていた公爵がベストのボタンも留めずに窓を覆っていたカーテンを勢いよく開いて絶句した。


「こ――れは」


 硬直した公爵の背後から破れたドレスの前をかき合わせ外を見た。


 そこには、白い巨馬を駆って丘の上から駆け下りる烈風のような騎士の姿があった。


 人里離れた郊外であるとはいえ、これほど明白に公爵の旗を立てた列に殴り込むのは尋常な覚悟ではできないはず。


「守れ――花嫁をお守りしろッ」


 馬車を囲んでいた甲冑姿の騎士たちが、土煙を蹴立てて、それこそ数十単位で白馬に向かっていくが、放たれた炎や風の嵐で彼らは赤子の手をひねるように吹き飛ばされていく。


「あれは、ルフェ家の紋章! 馬鹿な?」


 公爵がしわがれた声で呻く。


 遠目にも白銀の甲冑に白馬を駆っている騎士は片手で重たげな旗、確かにルフェ家のそれを示す赤地に白獅子を染め抜いたものを掲げまっしぐらにこちらの馬車に向かって突っ込んでくる。それを目にして心臓が止まりそうになった。


「ああ、神さま」


 知らず、つぶやいていた。


 目元が涙であふれ、みるみるうちに視界がぼやけていく。


 白馬の騎士は止まらない。


 向かい来る公爵の騎士たちを紙人形のように千切っては投げ、千切っては投げてついには指呼の間に及んだとき怯えた公爵は馭者に向かってもっとスピードを出すように叫んだ。


 がしゃん


 と。鋭い音が鳴ってガラスが粉々に砕け散る。


 馬車の外。屈強な身体とわかる雄々しい騎士が目庇を下ろした仮面のまま騎馬を並走させて公爵に向かって「降りろ」と身振りで指示を出した。


「き、きさま――儂を誰だと思っておる! 儂はロムレスに名高き名門の」


 その先までいわせてたまるかと長い腕がぬっと突き入れられ、扉はいともたやすく破壊された。


 騎士は大きな身体を窮屈そうに丸めながら馬車に入ってきた。


 公爵がなにかをいう前に、長い腕に握られた古ぼけた杖が鋭く動く。


 ぼかりと先端が公爵の頭を打ちつけた。


 公爵は「んごっ」と豚のような悲鳴を上げると襟元を掴まれゴミのように外へ投げ捨てられた。


 やがて馭者も飛び降りたのか、制御を失った馬はゆるゆるとスピードをゆるめ止まってしまう。


「なんか、思ってたよりも中途半端だな。もっと、こう、華麗に決めるつもりだったのに」


 半年ぶりに聞く、とぼけたその声。


 私は涙が詰まりそうになり、それからあんまり過ぎる自分のかっこうに気づき頬が熱くなった。


 騎士は私の姿に慌てふためくが、こちらがくすくす笑っているのに気づくと、あからさまに安心したゼスチュアで胸当ての場所を撫で下ろして見せたりした。


「ギリギリセーフかな?」


「遅いわよ、もう」


 腕を振り上げて胸を打つふりをすると、彼は困ったように頭をかいた。


 騎士が兜を脱ぐ。


 そこには、もう二度と拝むことがないと思っていた愛しいあの人の顔があった。


「あ、あんなやつのとこに行くな。ぼ、ぼぼぼ、僕の嫁さんになってくれ! アリシア!」


 人生で一番大事なセリフを噛んでしまうとは。


 でも、ナイトらしいなんのひねりもない真っ直ぐな言葉がうれしかった。


 私は情けないくらいくしゃくしゃの顔で彼の胸へと飛び込んでいった。

 

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嫁取りマギウス 三島千廣 @mkshimachihiro

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