タイトルに惹かれて読み始めました。開陽台という場所を今まで見たことも聞いたこともありませんでしたが、読んでいるだけで北海道の冬の寒さや展望台から見える景色が浮かんできました。短い中にも心理描写に引き込まれ自然の雄大さに圧倒され最後には思わずグッときてしまいました。このスケール感は北海道ならではですね。作者の力量を感じます。それにしても先輩がいい人でカッコイイ!
いや釧路をバカにしてるつもりはないんですけど、めちゃくちゃいいですね。完璧に小説だし土地の魅力もある。赤提灯横丁と釧路湿原しか存在しないと思ってましたが、こんななんていうかサバイヴする物語が描かれるような土地だとは。俺が盲でありました。良かったです。
真冬の北海道の雄大で豪快で凄絶な情景を、淡々としつつも整った文章が綴っていく。その情景に遭遇したことはないし、極寒の車内で死にそうな思いをしたこともないけれど、「道民の気が知れない」と驚いたことはあって、日本って広いなとつくづく感心したりもした。ちっぽけな悩みに、死にたいくらい苦しんでる。でも、地球の大きさを目の当たりにすれば、呆けたように、景色に呑まれるしかなくて。リアリティのある良作短編につき、すごく好き。