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天界ペガサス県キマイラ区某所にある天界の中では最大手にあたる会社、天生社。

天生社は多くの事業に手を出し成功を収めその事業でトップに立っている。

そして天生社が新たに始めた事業が「転生相談窓口」である。

多くの人間が選ぶ選択肢として「転生」がある。あまりにも多くの人間が選ぶため元々天界の転生総本部が行なっていた「転生相談窓口」を一般企業に委託。その後多くの企業が窓口を開設。そして天生社もその流れに乗って窓口を開設した、ということである。



「きゃぁぁぁぁ⁉︎」

そんな悲鳴とともにガシャンガシャンという大きな物音。

その部署の人たちがみんなその物音の方を向くが見た瞬間「ああ、なんだまたあいつか」というかのような顔をして仕事に戻って行く。それほどありふれた日常の一部なのだ。

大きな物音の中心には一人の女の子がいた。

身長は140センチくらい、どこからどう見ても小学生のそれである。

この小学生のような女神の名はミーシャ・サミラシア。相談窓口を運営している天生社総務部転生課異世界専門班に勤めて三年目である。

ミーシャは上司に渡すお茶を淹れて来たようで、彼女が転んだ近くには湯のみが転がっている。

その近くにはなぜかぐしゃぐしゃのショートケーキ。

これはまだいい方で3日前には積まれた書類に足をつまづかせ転んだ拍子に近くにあったコピー機を倒しながら窓ガラスを割り、落ちて行ったほどである。

その時にはさすがに温厚な上司からもこっぴどく叱られたが。

「ミーシャちゃん、片付けてまた頑張ってもっておいで。」

上司に促されケーキまみれの靴を一度脱ぎ、もう一度お茶を入れなおし、コピー機や配線に気をつけながら慎重に持って行く。

「おう。ありがとう。」

上司に頭を下げ、靴を持ちながら自分のデスクにもどる。

すると隣にいる女性が話しかけてくる。

「またやらかしたわねミーシャ…。湯のみが丈夫でよかったわ。」

彼女の名前はセリア・アンビラス。なにかと気があうよい友人かつ同僚である。

「うぅ、だってあんなところにショートケーキがあるなんて思わないじゃない…」

「最近よくあるわよ。ショートケーキが脱走していろんな所に潜伏してるなんて。」

最近冷え込みが厳しくなったキマイラ区ではショートケーキが陳列棚より楽しいし、広いからという理由でケーキ屋から脱走、その後様々なところで目撃されるという事例が多発している。

「だってあったかいオフィスの中だよ?なんでわざわざこんな死地に飛び込んでくるのよ…」

ティッシュで靴にくっついたクリームを拭き取りながらふてくされる。

「というより、早く窓口に行かないとヤバいじゃない?時間ギリギリよ?」

「あっ、いけない⁉︎」

セリアはもう準備は終わっていたようでミーシャを待っている。

急いでクリームを拭き取り、靴を履く。

まとめて置いたカバンを持ちセリアとエレベーターに乗る。セリアは今日何人相談を受けるのだろうか。

「今日の相談の予約は何人入ってるの?」

「午前に7人、午後に13人ね。」

「いいなぁ、私なんて午前に5人、午後に7人よ?」

「それは、あなたを名指して相談をして来る人もいるからでしょ?人気の証拠よ?」

ミーシャに相談をすると自分にあった第二の人生を勧めてくれるという評判が彼女を人気にさせている。

「でも相談内容がおかしいのばかりなのよ…」

だがなぜか名指しで来る人は一癖も二癖もある人たちばかりなのである。だから人数は少ないが一人の相談にかかる時間が普通の人の倍はかかるのだ。

「人数は増やしていいから普通の人の相談を受け持ちたいよ…」

「無理ね。」

「ずっぱり切りますね…」

ちょっとへこむ。

「でも、おかしいからこそ楽しいこともあるんですよね!」

「ミーシャ、あなたドMなの?」

「違いますよ⁉︎」

でも楽しいというのも本当である。毎日おかしな人が来て飽きないのである。だからこの仕事にやりがいを感じているのかもしれない。

そんな話をしてる間に部屋の前まで来た。

ここの相談室は個室になっている。中にはもう相談者がいるはずだ。

「じゃ、頑張ってねミーシャ。」

「ありがと、セリアもね。」

軽く別れの挨拶をし、相談室に入る。

中には二十代前半の男性がいた。

「おはようございます。相談員のミーシャ・サミラシアと言います。今日の相談内容はなんでしょうか?」

ゆっくりと男性が口を開く。

「僕…異世界のケモミミ女の子のパンツになりたいんです!」

何回目だろう。この仕事をやめようと思ったのは。




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こちら異世界転生相談窓口です! 口だけの男 @Kakerubeatboxer

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