衝動に突き上げられるまま壊し、殺し、食らうばかりの“ケモノ”がいた。しかしケモノはより大きな力を持つ“モノ”と対して破れ……与えられた安らかな眠りの後、人間として転生する。
破壊のケモノが人となり、それまで持ちようのなかった「心」を育んでいくお話なのですが! いろいろ見ていただきたいのですがその中でもまず、主人公のティグルくんを見てください!!
物語を進めていくには主人公に目標や目的が必要です。だからこそ、自分の理想の有り様を思い定めて未知なる未来へ踏み出していくティグルくん、「主人公はどうあるべきか?」の問いに対するひとつの解答かと思うのですよ。線の太い主人公はそれだけで千金の価値があります。
そしてリズムよく、オリジナリティあふれる文節(ふし)回しが気持ちいい地の文章もいいんですよねぇ。バトルシーンの“間”が実によく表現されていて、たまらない臨場感を演出しています。
主人公がどんと中心に据わった闘いと成長の物語、どどんとおすすめです!
(「戦いか闘いか!?」4選/文=髙橋 剛)