第4話 水流放て!4

水希みずきが放った水が着弾したのは的よりも前方の更に的より右側だった。

「あれ?」

的から大きく外れてしまい少し気を落としてしまう。

「まぁ、そうなるよねー」

「私もそんなんだった…」

水湊みなとは他人事のように、雪水ゆみは少しホッとしたように反応する。

「雪水先輩も外したんですか?」

落ち込みながらも先輩と同じ感じなら普通なのではないかと思う。

「雪水も外したよ。逆に雪水は的より向こうにいっちゃったんだけどね」

「そうなんですか…難しいですね」

外したことを気にしながら持っているライフルをじっと見る。

当てたかったなぁ。一発目で当てられたらすごく自信ついたはずだし。

「練習あるのみ…だよ…」

それだけ言うと雪水は射撃位置に寝転び構える。引き金を引くと遠くの的で水が弾ける。

「必要なのは…風との相談…多分…」

「あっ、そーいえば、それって撃ってから1分くらいは撃てないっぽいよ。さっき雪水がしてた時、連射したら水が全然飛んで行ってなかったからさー」

水湊の発言を聞いた時にふとさっきまで話してた相手の発言が頭の中で蘇る。


「10秒以内に敵を射抜きなさい」


つまりこれって外したら終わりってこと!?何それ聞いてない!きつすぎるよそれは…。

「…わかりました。ありがとうございます」

余裕がなくなりすぐに練習しなきゃとライフルを構えて標準をしぼる。

「そうそう、的にある程度当てられる様になったら私か水湊のどっちかに声かけてもらってもいい?」

「はい…大丈夫です」

その時はとにかく当てたくて何も考えずに言ってしまったが、後にこのことを後悔することになるなんて水希は思いもしなかった。



「今日は…終わろう…」

陽が暮れて的が見にくくなると雪水から声が発せられた。

「そうですね。ちょっと疲れましたし」

もう少し撃ちたいと思ったが雪水の声が疲れているように聞こえてそれに合わせる。

集中力の差…かな?雪水先輩の方が早くから撃ってたってのもあるだろうけどそれにしても疲れ方に差がありすぎる気がする。もっともっと集中しなきゃ駄目だなぁ。

途中でこのライフルは充電式だと教えてもらいだからこその装弾数が5発というのにも納得のいく説明を受けたあとはコードを引っ張って充電しながら撃っていたためそのコードを片付ける。

「雪水、もう終わった?」

2人ともまだ覚束無い感じで片付けていると入口から声がかかった。

「もう終わるよ…」

「そっか、じゃあここで待っとくね」

「うん…」

片付けの手が少し早くなり水希よりも先に片付け終わる。

「鍵…お願いできる…?」

鍵のかかった場所を指差して首を傾ける。

「あぁ、はい、大丈夫ですよ」

「ありがとう。ばいばい…」

笑顔で手を振ってくれる先輩に少し嬉しくなる。

「お疲れ様です!」



片付けを終えて鍵を職員室に返して下駄箱で靴を履き替える。

「水希」

後ろから男の声が聞こえて振り返る。

男は手を軽くあげると近づいてきた。

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ウォーターバックストライク 詩慧蘭 @ciera

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