ωii~シリィー~

誘宵

第1話 ωiiを使ってみよう

 男が二人。

 一つのある物体を前に話している。

「なんだいこれは?」

「これは、ωiiだね」

「……は? なんて読むんだ? 『ω』はオームだから『オームィー』か?」

「メタなことをいうもんじゃないよ。これは『シリィー』さ。最先端のVRマシンだよ」

「へぇ、VR! ……VR? えっと『V』はヴィーだから……」

「ふつうに『ブイアール』って読めばいいんだよ」

「で、そのVRマシンだっけ? こいつで何ができるんだい? 見たところ……尻だよな?」

「ああ。どうだい、いい形だろう? この丸み、そしてずしりとくる重量感。安産型のいい尻だ」

「おい、尻って言ったか?」

「ああ、これはωiiだな」

「そうじゃなくて……まあ、いいや。それで、こいつでいったいどんなゲームができるんだ? アクション? RPG? パズル?」

「こいつでするゲームはエロゲーだよ」

「へぇ、エロゲー……?」

「ああそうだ。だからこんな形をしている。臀の形」

「ちょっと待てよ。つまり、VRエロゲーのためのマシンってことか?」

「そういうことだ。ちょっと、ひっくり返すぞ……」

 ωiiの本体がぐるりとひっくり返される。

「うわっ! なんだこりゃ。マンコだ!」

「おいおい、あんまりストレートな表現を使うんじゃないよ。消されるよ?」

「だってよ、こいつをマンコ以外のなんて呼べばいいんだよ。話し言葉ならマンコはマンコだろ? 女性器とかヴァギナとか日常会話に使うか? 使わないだろ? それにしてもきれいなマンコだな。まあ、新品だから当然か」

「だからマンコマンコと連呼するんじゃないって」

「それで、これはVRエロゲーのためのマシンって言ったな? これが本体なのか?」

「ああ、これがωiiの本体でコントローラーでもある。ほら、腰のところにボタンが付いているだろう?」

「あ、たしかに。なるほど、これで抱えながらゲームをプレイするわけだな。そして、マンコには……」

「それ以上は言わせないぞ! とにかく、お前の想像通りのことをしてやればいい」

「なるほどなー。ハイテクだね。さっそくプレイしてみてもいいかな?」

「どうぞどうぞ。このHMDをつけてな……」

「HMD……えっと……」

「それはもういい。やるならさっさとやりなさい」

「お、おう。じゃあ、ヤらせてもらおうか……」

 男の一人が意気揚々とHMDを装着した。

「どうだい?」

「ああ、見える見える。目の前に、裸の女がいるみたいだー」

「実際に目の前にいるのは俺だけどな」

「興ざめするようなことを言わないでくれよ。えっと、ωiiのコントローラーを持つと……おっ、目の前の女の腰に手を当てているみたいだ。とりあえず……愛撫してやればいいんだな」

「そうだ。やってみてくれ」

「おう。ここを、いじると……。なんだ、ボタンになっているのか?」

「クリトリスのところにもボタン、というかトラックボールが付いているんだ」

「なるほどな。これでクリトリスをくりくりいじくりまわせるわけだ……。どれどれ……。おっ、おおっ、反応してる反応してる。ちょっとつまんでやろうか。このボールの部分をつまんで……。はは、ビクビク反応してるぜ。こりゃ楽しいな。クリトリスだけで……クリトリス……が……ッ! ああっ! おい、おい! この女のクリトリスがもげたぞ! もげたー!」

「ああもう、調子に乗って動かすから、トラックボールがとれたんだよ。周辺機器の取り付け用にそこはとれるようになっているんだ」

「そ、そうだったのか……。というか、ゲームの画面が大変なことになっているぞ。指で取れちゃったクリトリスを摘まんでいる状態だぞ。グロテスクなゲームになってる!」

「R18になるのも納得だろ?」

「そういう問題じゃない! 俺はグロいゲームじゃなくてエロいゲームがしたいの! このωiiはそのためのマシンなんだろ?」

「あーはいはい。それじゃあ、せっかくだからこれをつけてみよう。……よし、取り付けたから、握ってくれ」

「握る? 肥大したクリトリスってことか?」

「まあ、いいからリスタートボタンを押してくれ」

「どれどれ……って! 男になってる! さっきまでゲームの中では目の前に美少女がいたはずなのに!」

「エロゲーには女性向けもあるだろう? というわけで、さっきのクリトリスのところに男性器アタッチメントをつけることで、相手を男にすることもできるのだ」

「なるほどー……って、俺にはそういう趣味はないからな。し、しかし……ずいぶんリアルだな……」

「現実では俺のモノを触ってもらっているからな」

「なんだと!」

「冗談だ」

「……ッ! 脅かすなよ……」

「まあまあ。でも、リアルだろう?」

「ああ。本物みたいな質感だ。触り心地は、ただの棒なんだがな……。あ、これ前後左右に倒れるのか。へぇ、しごき方に合わせて画面の男の表情が変わるのはさっきの美少女と同じだな」

「……なんだかんだ言って、チンポいじりに夢中だな」

「あくまでゲームの話だからな」

「わかってるよ。それじゃあ、そろそろ現実に戻ってきてもらえるか?」

 HMDを取り外す。

「……ふぅ。未来を見たぜ」

「楽しんでもらえてうれしいよ」

「それにしても、このコントローラーはエロゲーしかできないのか?」

「一応、クリトリスやチンポがカーソルを動かすのに対応するから、大概のゲームのコントローラーにはなるぞ。腰を抱えてチンポをしごきながらゲームをする格好になるな」

「お前も言い方を考えろよ。しかし、それを聞いてこのコントローラーで普通のゲームをしないほうがいいってはっきりわかったぜ」

「……同感だ」

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ωii~シリィー~ 誘宵 @13izayoi41

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