第2話 夢の方程式②

梟大学のオープンキャンパスにてとあるセミナーが開かれていた。

内容はPCに関する授業だ。文系の学生たちにも理解ができるように

開かれたセミナーだ。


「PCは0と1の二つの数値で構成されています。」


英知は続けて学生に講義した。


PCは「0」か「1」で判断をします。

例えば「Yes」ならば「0」を出力し、「No」ならば「1」を出力します。


「0」と「1」は相反するモノの象徴となります。

「ある」か「ない」か

「できる」か「できない」か

どの項目も「0」と「1」で出力します。


日常の出来事で大ざっぱに例を出しますね。

例えば外が雨だったら「傘をさす」、

晴れだったら「傘をささない」とPCに指示をする場合、

PCは「傘をさす」を「0」と定義し、

「傘をささない」を「1」と定義してプログラムします。

外が雨であればPCは「0」を出力し、「傘をさす」動作を出力するわけです。


PCは「0」と「1」を確実に実行します。

正確に処理をするため、ある意味人間より優れているわけです。

一見人間に比べて完璧な存在に見えますが、人間より不得意なところもあります。

それは・・・


「曖昧さ」です。


「0」と「1」のようにはっきりした判断ではなく、「0」に近い「1」とか

「0」と「1」どちらでもないとか「曖昧な」数値をさします。

アンケート用紙の回答で例えるならば、「どちらかといえばそうである」とか

「どちらでもない」といった、どっちつがずの回答をさします。



もっとわかりやすく説明するために先程の「傘」の例を再び出しましょう。

雨が降っていれば傘をさし、晴れていれば傘をささない。

それではもし雨がぽつぽつ程度のものでしたらどうでしょうか。

人にもよりますが、多分ほとんどの人が「あまり雨が降ってないから

傘をささなくてもいいや」と思うのではないでしょうか。


しかしPCがこの状況に出くわしたら雨が少しであろうが傘を差します。

なぜなら傘を「さす」か「ささない」の二択しかないからです。

「さすべきか」、「ささないべきか」と悩んだりはしません。


そこが「PC」と『人」との違いです。

まあ・・もしかしたら近い将来AIがさらに発達して、

その違いは無くなるかもしれないですね・・。


PCに比べると人間というのは本当に頼りになりません。

ミスもしますし、悩みもします。

PCは「曖昧さ」を持ち合わせていません。

プログラムされた通り実行するだけの「機械」なのです。

それに対して人間はその場その場で「悩んで」、「考えて」判断をします。

「やっぱこうしようかなあ」とか「やっぱやめようかな」とか悩んで考えます。


なぜなら人間は「曖昧」ですから…

PCのように「極端な」決断はなかなかできないからです。


このように人間は曖昧で不完全な生き物ですが、

逆に言えば曖昧なゆえに成長する可能性があるということです。


つまり不完全なゆえに人は夢を持つのです。


曖昧な自分を成長させるために…

スポーツ選手、サラリーマン、政治家、投資家など

あらゆる夢を抱くのです。


ところで皆さんは将来何になりたいか考えていますか?

まだ何も考えていない、もしくは思いつかないという人がいましたら

是非やっていただきたいことがございます。


それは自分の夢を「X」と定義し

その「X」を解くための方程式を考えることです。


福来は引き続き話を続ける。受講者も話の内容に関心を抱き始めたのか

耳を傾け、講義の内容をメモするものが大半であった。


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夢の方程式 ふしたくと @hukurai

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