夢の方程式

ふしたくと

第1話 夢の方程式 ①

決闘とは「生」か「死」の二択しかない。

どちらかが「殺す」または「殺される」まで続く。


そこには相手に対する慈悲など無い…。

相手を想って悩んでいては死に至るからだ。

そこには二つの感情しかない。


「殺す」か「殺される」かの二つだ。


二人の決闘を高見の見物をしていた王は喜びを感じていた。

「生」か「死」か

「殺す」か「殺される」か

「勝つ」か「負ける」か

その両極端な考え方を王は好んでいた…。


王は「天」と「地」、「創造」と「破壊」といった、

コインの表裏のように二律背反なものを好んでいた。

つまり二元的思考を崇拝していたのだ。


二流の人間は悩みに悩み、中途半端で何者にもなれないと考え、

逆に極端に決断できる者を優秀な人間だと考えていた。


一瞬で決闘が終わり、そこには互い違いの者たちがいた。


決闘という現実を受け入れることができず、恐れて敗北した決闘者。

それに対して何も躊躇せず相手の息の根を止めて勝利した決闘者。


「生」と「死」という二つの概念が同時に存在するこの場に

王は満足していた。

二元的思考…いや二元的「至高」…

このように王は二元的な考えを神として崇拝していたのだ。


中途半端な人間にはできない完全完璧な存在を…

「生」か「死」か

「表」か「裏」か

「ある」か「ない」か

「0」か「1」か

二元的な存在である神を…


王はあらためて神の素晴らしさを認識した…

神とは崇高で神聖な存在だ…。

「創造」と「破壊」、「生」と「死」…

人知を超える概念を持ち合わせている…。

相容れない二つの概念を結合させる計り知れない存在…

もはやこれは神としか表現しようがない…!

神は唯一無二の存在だ…と。



しかし残念。


この二元的な存在である神は現代で沢山存在していた。




ある日、その神の宣教師が布教活動を行っていた。

布教活動の場は梟大学3号棟の1階で行われていた。


宣教師の名は福来英知、梟大学の教授だ。

オープンキャンパスに来た学生を対象に神の素晴らしさを説いていた。


黒板には「0」と「1」の羅列が書かれており、英知は学生に向かって

神の構成内容を説明していた。


「このようにPCは「0」と「1」二つの数値で構成されています」…と



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