明確に数値化されるからこそ、簡単に劣等感を抱いてしまう。
成績表やテストの点数で一喜一憂したことのある人なら、誰もが共感できると思う。
入院生活というどこか非日常的な空間であるにもかかわらず、根底にあるのは、そんな誰もが経験したことのあることかもしれない。
能力を数値化されて、数値が高くても、低くても劣等感を抱いてしまう。
そんな数値に振り回された少年とお姉さんが、数値化できない恋愛感情に戸惑い、すれ違い、でも激しく求め合う。
エピローグは、やや甘々かもしれませんが、そこに至るまでのことを思えば、ご褒美です!(たぶん、読んだ人にも)
最後に、
途中から、高木さんがとても好きになりました。
「ステータスが数値化される世界の病室」、そんなハイファンタジーとローファンタジーの中間のような世界の中で繰り広げられる、頭脳は大人な病弱主人公と、体力抜群で頭が弱いお姉さんの色恋。
出会いからラストまで、甘い描写と切ない葛藤シーンが交互に来て、心を揺さぶります。特にキスシーンの描写はステキ! 途中から私はキスシーンを見るためだけに読んでいたといっても過言ではないです(嘘です)。
設定の面白さはもちろんだけど、主人公のモノローグに「本だけを読んで生きてきた、頭でっかちな12歳」の感じがよく出てます。それゆえ、読んでるうちに視点がどんどん彼の世界に引きこまれ、ついつい共感してしまうんですね。
そして次々明らかになる登場人物の秘密や思惑も面白い! 1話読んだら、最後まで一気読みしたくなること間違いなし!