あとがき / 島田フミカネコメント / Q&A


 あとがき


 第一期アニメのノヴェライズから数えて六冊目。

 とうとう大団円です。

 芳佳たちの戦いに付き合ってくれて、みんな、本当にありがとう!

 ……と、真面目まじめな話はここまで。


 大体、かんがいひたろうにもこの暑さでしょ?(れいぼうつけっぱなしだったから、電気代のせいきゆうを見るのがこわい)

 この百十三年間で一番暑い夏だって言うし、あんなこともあった、こんなこともあった、な〜んておくゆかに落とした安物のHDみたいに完全にぶっ飛んじゃってるもんね。

 ……まあ、暴走しかけて、担当さんを始め、各方面から何度もストップかけられたことは覚えてるけど。

 とにかく、こんなに可愛かわいい女の子たちにえたのは最高の経験だったし、日本発のWWⅡをたいとしたエンターティメント(エンターティメントになってないのなら、いて捨てるほどあるけど)作品って最近少ないから、アニメシリーズのちよう大ヒットには正直ビックリしたし、うれしかったなあ。


 実は、ごろから映画マニアを公言してる僕だけど、戦争映画(特におうしゆう戦線もの)もけっこう好き。

 クリント・イーストウッドのおう島もの二部作とか、『プライベート・ライアン』、『ワルキューレ』もいい作品だと思うけど、愛してまないのはもっと昔の名画なんだよね。

 名優四十四人が勢ぞろい(007をやる前のショーン・コネリーがチョイ役で出てたりする)、ノルマンディー上陸作戦を主題とした『史上最大の作戦』。

 とくしゆ部隊ものの草分け的存在で、列車砲並みのきよほうあつとう的な存在感を見せる『ナバロンの要塞』。

 ジャック・ヒギンズの原作もらしい『鷲は舞いおりた』(チャーチルゆうかい計画のお話。機会があれば、このノヴェライズ版でもやりたかったけど。代わりに同じ原作者の『脱出航路』を元にしたネタをやりました)。

 だつそうもののけつさく『大脱走』と『第十七捕虜収容所』。

 これも脱走ものだけど、サッカーとからめたところがみようの『勝利への脱出』(スタローンの映画では一番好き。ペレも出てるし)。

 あまり評判は良くないけど、個人的には好きな『遠すぎた橋』(かんとくは『ガンジー』などを手がけたリチャード・アッテンボロー。この監督には『素晴らしき戦争』っていうかくれた傑作も。そう言えば、俳優として『大脱走』にも出てたなあ)。

 アフリカ戦線なら『砂漠の鬼将軍』と続編の『砂漠の鼠』。

 主演のジョージ・C・スコットがアカデミー賞をったことでも有名な『パットン大戦車軍団』(実は共同シナリオライターのひとりがF・コッポラだったりもする。何と『ゴッドファーザー』の二年前)。

 息苦しいほどのへいそく感があるドイツ映画の『Uボート』(く、空気を……)。

 同じくせんすいかんものだけど、お色気コメディーの『ペチコート作戦』(……この作品をす人って、ほかにいるのかな?)。

 対独ていこう運動をあつかった『地下水道』、『無防備都市』(どっちも暗いけど……)。

 空戦ものだと、『空軍大戦略』、『633爆撃隊』、『撃墜王アフリカの星』(そう、あのマルセイユさまの元ネタエースの伝記映画です!)、『暁の出撃』(ジュリー・アンドリュースがうたう主題歌がいい)。

 ほうなら、山本さつ監督の『翼の凱歌』(戦時中なんで軍全面協力。それでいて、単なる戦意こうよう映画で終わってない)。

 あとは……ああ、書き始めたらキリがない。

 今挙げた作品の大半はDVDで見られると思うから、興味のある人は見てね。

 記憶だけで書いてるんで、タイトルとかちがってたらゴメン。


 でも、これでウィッチたちはとしばらくお別れだと思うと、すっごくさびしい。

 みんなもそうでしょ?

 部下おもいのミーナに、ぐな坂本。

 ほんわかリーネに、実はすごくやさしい意地っ張りのペリーヌ。

 やる時はやるハルトマンに、妹ラヴのバルクホルン。

 世話焼きエイラと、おぼうサーニャ、

 てんほうのルッキーニに、姉貴なシャーリー。

 そして、いちな芳佳。

 ほんとに可愛い子たちだったよ。

 さらば、ウィッチーズ!

 さらば、おしり

 さらば、おっぱい!

 そして、さらば、読者である隊員諸君!

 また逢う日まで!

 アディオス、アミーゴ!

 アスタ・ルエゴ!

 ……って、なんでスペイン語?




 巻末特典 島田フミカネスペシャルコメント



 元々はイラストコラムとしてスタートした『ストライクウィッチーズ』。その生みの親であり、現在も自身のHPで次々と新たなキャラクターを発表している原作者・島田フミカネ氏に、TVアニメ2期の放送しゆうりようとノベライズ最新刊の発売に寄せて特別にコメントをいただいた。



 みなさんがこの本を手にしているころには、すでに2期の全エピソードを見終わっておられるかと思います。

 第501統合せんとう航空団の面々については、アニメ1期と2期合わせて24話分に加えて、ノベルやまん等のメディアで都度補完をしてきましたので、まずサブキャラクターたちについて書いてみます。


 2期1話のぼうとう、トラヤヌス作戦に第504統合戦闘航空団が登場しますが、シナリオが出来上がった段階では、竹井以外のキャラについては、名前と所属程度のごく簡単な文字設定があるだけでした。

 しかし、504も501と同じく名のあるエースの面々ですので、これを機にきちんとキャラクターをデザインし、性格など細かい設定もつけることにしました。

 とはいえ、冒頭に数カットだけ登場するキャラに、それぞれ専用の武器やストライカーを用意するのは、制作現場の作業量を考えると難しいため、制服を共用出来る赤ズボン隊の3人を優先にデザインしました。

 せっかくだから、と書いた赤ズボンの3人ですが、逆にせっかくだからゲームやドラマCDなどに登場させてみたら、と提案をいただき、より細かい設定を作る機会にめぐまれました。

 アニメでは顔見せ程度の登場でしたが、元々ストライクウィッチーズは、501以外にも世界中で様々なウィッチが同時進行で戦っているという作品ですので、ちらっと出てきたキャラクターたちにも出来るだけかつやくの機会をあたえてあげたいと思ってます。


 4話に登場した、エーリカのふたの妹ウルスラは、ヤマグチノボル先生の『スオムスいらん子中隊』が初出のキャラクターです。天才はだで自由人のエーリカとちがい、マニュアル至上主義で内気な性格の彼女ですが、いらん子中隊劇中でじよじよに成長し、アニメ登場時には立派なエースけん技術者として501をおとずれています。

 久々の再会にもかかわらず、姉妹共々うす〜い反応でしたが、あのごくつうな感じも、ウルスラの成長のあかしではないかと感じました。


 10話でエーリカと張り合ったマルセイユは、元々アニメかくの当初から別戦線をえがく目的で設定を進めていた、アフリカ軍団のエースです。

 エースの話をすると、必然的に「だれが一番強いのか」という話題が出てきます。

 そもそも戦っている地域や、各国のお国事情が違いますので、げきつい数だけを見て最強を語るのはあまり意味がないのですが、ぜんじんとうの350機撃墜を達成したハルトマンと、「空飛ぶ計算機」と呼ばれたマルセイユ、2人が戦うとどうなるのか? というのはシナリオ会議の間にもよく出ていました。

 アニメでの対決の結果は皆さんがごらんになったとおりですが、ストライクウィッチーズでは、史実のわくえて、世界中のエースがきようとうするというロマンを優先した企画なので、ちょくちょくこういったエピソードをやっていきたいです。


 最後に、わきを固めたせんかん等の通常兵器について。

 作品設定の都合上、どうしても裏方になってしまうのですが、特にアニメでは宮藤の視点でエピソードが進みますので、「とつぜんへん的な強敵と戦っている」部分のき出しとなり、だんの活躍がえがけないのがもどかしい部分でありました。

 その中では、零戦のしゆきやく収納シーンや、めずらしいロマーニャ(イタリア)かんたいを登場させることが出来たのは現場のがんりのおかげです。

 ストライクウィッチーズのミリタリー成分を支える存在として、名脇役的なポジションでさらなる活躍をさせてあげたいな、と思います。




 担当編集がさらに深く聞いてみた!



Q1:他メディアとのクロスオーバーについて

A1:今回の504やウルスラなどのサブキャラクターは制作じんのファンサービスという部分が強いんです。もちろんアニメだけでも十分内容が伝わる物にしなければなりませんが、その上で彼女たちのようなキャラクターを登場させることで、知っている人には「にやり」としてもらえたらと思っています。そしてそこから他メディアの作品にも興味を持っていただけたらと思います。


Q2:次にやってみたいことは?

A2:わかりやすさを優先すると、どうしてもドイツや日本など有名どころがメインになってしまいます。個人的にはクロアチアやルーマニアなどの中小国、イギリス軍の中のポーランド人部隊などを題材にやってみたいですね。


Q3:もし劇場版があったら?

A3:大規模編隊による空戦をやってみたいですね。無数の敵と味方が入り乱れるような。TVでは作業スケジュールの問題もあり、大型の敵がメインでしたが、もし劇場版をやれるなら、細かい敵が画面せましと飛び回るような戦闘シーンが作れるのではと思います。やられ役になりがちな戦艦にも活躍の場を与えてあげられると思います。


Q4:島田さんにとってずばり『ストライクウィッチーズ』とは?

A4:ライフワークですね。これからもやれる限り続けたいです。


編集:最後にファンのみんなに一言お願いします!

島田:みなさんのおうえんのおかげでここまで来ることが出来ました。2期は終わりましたが、皆さんから応援をいただければ、3期や劇場版も夢ではないかもしれません。501のメンバー、そして『ストライクウィッチーズ』という作品をこれからもよろしくお願いいたします。

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【全巻公開】ストライクウィッチーズ・シリーズ/著:南房 秀久 角川スニーカー文庫 @sneaker

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